豆腐が一丁入る大きな鉢です。 夏の冷や奴は冷たい水に浮かべていただくと、一段と涼しげです。
元は、昔どの家の台所にもあった「納豆鉢(こね鉢)」で、材料を捏ねるために使われた道具です。サラダやちらし寿司など気軽にあえて、食卓へ・・・。
実は、この鉢はよく見ると少しゆがんでいます。そのことが、大きな鉢に豊かな表情を与えています。
一般的な漆器のように、乾いた木をくりぬいて作ったのではなく、「生木鉢」とありますように、乾かす前、つまり生の木のうちに鉢にくりぬき、乾燥させています。この方法では、多くの鉢が乾く段階で歪みすぎて使えなくなってしまいますが、雑器としての素朴さを追求した奥田達朗さん時代からの愉しい試みです。
素朴さを大切に、さらに仕上げは、木の目が美しい「目はじき」です。 美しさと素朴さに、強さを兼ね備えた鉢からは、奥田志郎さんの漆器へのこだわりが隅々まで感じられることでしょう。
同じような「目はじき」の手法に「サハリ椀」がございます。
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