38年前、民俗学映像研究所の姫田忠義氏が「日本のうつわ」を映像化なさった時、さまざまなところに立合わせていただき、古代からの食べ物と器の関係の原点を知ることが出来ました。
土器(かわらけ)は伊勢神宮と京都洛北の幡枝に取材に出かけ、最後の工人と云われたご高齢の女の方に肘を使ってぐりぐりっと押しつけて窪みをつけ、野焼きをして盃や皿を作られるのを見せていただきました。
上・下賀茂神社の御神饌用のかわらけで、昔は賀茂神社御用の幟旗をつけて大八車で運んでいたと誇り高くおっしゃっていたのを印象的に覚えています。
乾山のこの土器は、そんなところが原点になっているのではないでしょうか。御神饌用の土器は使い捨てが原則なので、この微妙な形を使ってくり返し使用に耐え、価値の高い上等の焼物として生まれたのではないかと思われます。
この度、京焼を六年間懸命に修業していただいた伏原博之さんに、究極の京焼、この土器皿をお願いしてみました。
試行錯誤の上やっと出来上がり、昨年末「どうです」とばかり持って来られました。「まだこれからもいろんな課題があります」と謙虚におっしゃって、絵付けを担当して下さっている森本さんと共にますます京焼きの真髄に近づいていただけると思っています。
菓子皿として、また写真の様に取り皿として食卓を豊かにするものです。