手毬ずしと菜の花のぬた、白酒、おつゆはハマグリのお吸物かな?等と、三月に入る頃さまざま入手の用意をします。
貝のお皿や蝶々の小付などあれば三月の雰囲気そのもの、女性やお子様ばかりではなく殿方もきっとお顔をほころばせなさることでしょう。
春と申すにはまだまだ寒く、ここ大阪では梅の花がやっとほころび始めたところでございますが、春待つ気分が充満し始めました。おひなさまも「そろそろお出ましいただきましょうか」と思う日など、ちらしずしなど作ってプレひなまつりといきましょうか。
この箱はもともと京都四条の高名なうなぎ屋さんのご注文で作りましたもの。別注のものは少したくさん作って次のご注文に備えておくのですが、それ以後はご注文がなく眠っていたところに能登の震災。被災したものの中からやっとの想いで取り出したものの六個です。うなぎ箱としては大きく(うなぎの白焼きを杉箱に入れて蒸し、箱ごとこの漆箱に入れるという丁寧なお仕事に用いられていました)、塗も下地をした上に中塗を二回入れて(小中塗と申します)、洗朱の上塗をしたものです。おすしなら三人分が十分に入る大きさです。中は黒で、美しいものです。
お汁は蛤のおすいものや、帆立やえび真蒸など少しおしゃれなものにしてみます。取り皿は刷毛目中鉢(有光武元さん作)、盃と箸置は古川章蔵さんのものです。折鶴文様の錫のお銚子を揃えて。