明の末期の古染付の内でも一番たくさん作られたものの一つで、よく目にする中鉢です。染付の葉の形が薺(春の七草の一つ)に似ているので、ナズナ紋と呼ばれて親しまれてきたものです。形の使いやすさと快さでついつい食器棚から出てしまう小鉢です。
ようびにも須田菁華さんや植山昌昭さんの作品がございますが、この度私の持っている古染付の本歌を土山さんに忠実に写していただきました。
土山さんは京・五条の清水焼の中心地でお父様から御指導を受けられた方なので、どんなことでも出来る腕の持ち主。古染付の写しを無理難題申上げながら作っていただきました。やはり細部まで行き届いたよい写しが出来たとよろこんでおります。ご覧下さいませ。
三寒四温とはこんな気候変動の時代にもあるものだなと思いつつ、間近くなって来た花を待つ心になっています。
今年は心痛いニュースの毎日ですが、日常を奪われた人々を想いそれ故になおさら人間の日常の大切さを思うこの頃でございます。
辻村塊さんの白化粧の角長皿は気分がスーッとするような大らかさのあるお皿で何を盛っても晴れやかです。春草の天ぷらも美しいですね。
天出汁は土山敬司さんのなずなの小鉢に、貝の小皿にはお塩を。中村恵子さんの唐津の徳利と、正木春蔵さんの八角の盃は桜の文様がついております。さっぱりしたお味のお酒で如何でしょうか。