春の山菜はアクが多く、やはり天ぷらにするのが一番。力強く大地から出てきたような器に盛り付けて、より春になりました。川淵さんは自然の中で暮らしていらっしゃって、御生活自体が土と同化なさっているように思えます。
朝鮮唐津の酒器と、吉田屋の盃を合わせてみました。少し華やかな網花の小鉢、まゆ形の塩入れ、貝の箸置、みどりの箸と、春たけなわです。
この様な種類の豪快な土物は重くて持ちにくいものですが、川淵さんの作品は「アレ?」と意外なほど軽く出来ています。
山の中でテレビもない生活と聞いていますが、だからといって大変な「変わりもの」のところはなく紳士的で、とても気持ちのよい方です。このところメキメキ腕を上げて来られたお嬢さん(明日香さん)が、父上のお世話をしながら自分の世界も歩みをすすめていらっしゃいます。たのしみです。
ロクロは上手なほど軽く仕上がりますが、川淵さんの場合も御自分の形の感覚からは離れないようにして出来るだけ軽く作る努力をなさっています。
この様な形のものが食卓にありますと面白いのではないでしょうか。これに合わせるしょうゆ皿や小鉢などはきれいな形・色のものをおすすめします。