干支にちなんだ昨年の鱗紋の箸置が大変御好評を得ましたので、この度は仁清のお茶碗にある色調を模して華やかな箸置を作ってみました。
能では鱗紋は、道成寺、葵上、もみじ狩、鉄輪、安達ヶ原などの女の魔性を表すものとして装束等に用いられます。特に赤地金箔の鱗紋はその上に怒りを表すものだと聞きます。嫉妬、執着などさまざまの苦しみが神仏の力を借りて浄化され、守り神となったものを私たちは魔除けとしてあがめるのです。
少し気の張るお客様や御家族のお祝事、新しいことに踏み出される時など、こんなひそやかなものに安全を祈る意味をこめるのも、豊かな日々のひとこまなのでしょう。