この雲錦鉢は、二代目仁阿弥道八作を写させていただいたものです。二代目道八は幕末最高の名工とうたわれた人で、粟田口に住み、この鉢はその粟田の土を用いています。
春にも秋にも使える鉢として華やかなものですが、乾山に傾倒していたと云われていて、紅葉にもその影響がうかがわれます。全体に華やかな中にも控え目な「京」らしさを漂わせています。一年余前に伏原さんにお願いしてさまざま試作の上、先日出来上がりましたものです。おたのしみいただけると思っています。
仁阿弥道八作雲錦文様鉢
すでに黄色く変色して本歌をの色合いが伝わりにくいのですが、店主は実物を見せていただいているので、記憶をたどりながら伏原博之さんとやりとりをし、完成にいたりました。
山桜の枝ぶりなど大変満足できるうつわです。
名器と盛りつけ―懐石・辻留 辻 嘉一 婦人画報社 (1979)
雲錦という文様はどちらかというと春の頃に用いることが多いのですが、元は花を雲、もみじを錦と見て、仁阿弥道八の初代が作られたものです。京らしい季節の取り入れ方に感心いたします。上質な器という満足感がございます。
朱の片口はもう40年も前から作っているものです。このところ、いろんな地方の酒蔵からとても特長ある味や香りのお酒が出され、冷めたまま(常温も含め)供することが流行で、その場合はお酒の顔も見れて注ぎやすい片口がよろこばれ、今この時にぴったりかと今一度おすすめしたいと思います。
ぐい呑は辻村塊さんのもの、呑み口といいワクワク感といい、「こんなものでお酒をたのしんでいただけたらな」と思います。