波の形をふちどりにした豪華な向付です。本金をたっぷりと使って、品の良い重厚さを出しています。
お刺身、和え物にとも思いますが、黒豆を盛ると黒豆の値打ちが三段階ほど上がりますね。
この向付の本歌は吉向治兵衛作の江戸後期のもので、大阪の十三で開窯、十三軒松月という号を用いておられたそうです。「亀甲焼」とも称されていて、今は
吉向焼」として続いているお家です。
交趾という名はベトナム北部あたりの古名でコーチャンと呼ばれていたと聞いています。そのあたりに産する原料で造られたものなのでしょうか、主に香料を入れて輸出した蓋物が日本では香合として珍重され、日本の名前が与えられ、交趾(コーチ又はコーシ)と呼ばれてきました。茶席は暗いところですので特に黄交趾が珍重され、交趾大亀香合など大名物として藤田美術館などに残っています。
釉をかけないで色絵具を幾度も重ねて鮮やかな色合いを出しています(回数は色によって違い、焼き具合によっても異なります)。