うす暗がりに咲いている真っ白い夕顔を大胆に表現した乾山の抹茶碗をご存知の方も多いと思います。それには源氏の君の歌が書かれていてすばらしいもので
すが、何とかそのひとかけらでもと思い、写しを蓋物で作ってみました。大好きな夕顔の花を感じていただければと思います。
寄りてこそ それかとも見め 黄昏に ほのぼの見つる 花の夕顔
(乾山の抹茶碗にはこの歌を本歌どりして
よりてだに露の光やいかにとも思ひもわかぬ花の夕顔 と書かれています。)
これにはさて何を入れていただけるのかな。私は鯛そうめんを考えました。鯛のアラを焼き、煮出してアクを取りよく清まして塩と少々お醤油で味をつけ、素
麺を流しておいて汁を張ります。オクラの小口切り少し、タイの焼いた切身一切れでもあれば最高です。お薬味は生姜または花柚子など。
市松のガラス長皿には鱧寿司(大阪船場吉野寿司さんに作っていただきました)、正木さんの葡萄の向付には泉州の水茄子と胡瓜の糠漬を盛ってみました。
お酒はあっさりした冷酒で。求々草のランチョンマットで涼しげに見えておりますでしょうか。