コーヒーをご自宅でたのしむ方が増えて参りましたのに、カフェオレかデミタスのカップばかりで、「素敵な形の丁度よい容量のコーヒーカップがない」と思っていました。紅茶のカップはいろいろありますのにと。
古い大倉陶園さんのデミタスカップの中にこの形を見つけ、寸法を普通の大きさに変えて復原をお願いしました。
模様はオールドオークラにあった可愛い薔薇をちらしていただきました。
岡染めという技法はあまり聞かれたことのない方が多いのではないかと思い、少し御説明させていただきます。この技法は大倉陶園だけが採用している独特の染付です。
普通の染付は素焼した表面に呉須(主成分はコバルト)で絵付けをし、その上に釉をかけて本焼をしたものですが、岡染めは本焼した白い肌の上に特別な手法で絵付(主は酸化コバルト)をし、もう一度本焼と同じ温度の1460度の窯で焼いたもので、釉のガラス質の中に染付した色が沁み込み、この独得のボカシが生まれます。
上絵付(赤絵・色絵)は大体800〜900度で焼くものですが、岡染めでは1460度で本焼を二回することになるのです。この度は特に薄く作っていただいているので、二度の窯の中の危険度も高くなり、通常の二倍もの手間をかけていただいたようです。
もう一種類はトワエモアの紅茶カップと同じ蒔地ブルーで作っております。これをお持ちのお客様には、トワエモアのシュガー・クリーマーポットを合わせていただけます。
さまざまなご事情で仲々に作っていただけなかったのですが、何とかお願いする事が出来、試作を幾度か繰り返していただきながら、昨年のクリスマスまでにと思っておりましたら、私たちが見ても解らない一部分だけ不備があるとの事でストップしてしまいました。大倉陶園さまにのみ分かる問題点ということでした。そのように厳しいものを持っていらっしゃる会社に敬意を表して、待つことにいたしました。
この度、新しいこのカップを自信をもっておすすめ出来ますこと、うれしく思っております。
最高のコーヒーカップと存じます。形・文様共に大倉陶園さんのカタログにはないようびのオリジナルでございます。