お客様に新しい家具を納品した時に
「古い家具を引き取ってくれないかな〜?」と頼まれることが、よくありました。
。引き取ってから、どうすればいいのかな〜?とよく考えていました。
ある時、
補修、修復をすれば、まだまだ使えそうな良い家具に出会いました。引き取って直してみると、とても良い感じの家具になりました。
「しかし、これでは我が家では使いづらい…。」
現在の住宅事情にはなかなか合わないのです。他のインテリアともマッチしませんでした。
「アンティーク家具を自宅で使うのは簡単ではないなぁ」と思ったものです。
次に直した家具は
自宅でも使えるようにと考えて変えてみました。
もともとの雰囲気を壊さないように、現代のインテリアにもマッチするようにと工夫を凝らし、脚もつけたら…。などとアイデアが湧いてきました。
木の脚も考えましたが、木よりも鉄の方が素敵ではないかと思い、鉄工所に頼み込み「鉄脚」を作っていただき取り付けたところ、なんだか懐かしく素敵な家具に変わりました。
「既存の家具から新しい価値を生み出した家具」に変わったのです。
当店の所在地である
飛騨地方は、
豊富な木材資源と
「飛騨の匠」の技術を受け継ぐ人的資源に恵まれ、それらの資源を背景とした
全国でも有数な家具の産地であり地域内には古い良い家具が多く存在しています。
この周辺地域の
「古い家具」の材はヒノキを使われていることが多いです。
それは下呂という土地柄が
飛騨地方なのに裏木曽地域と呼ばれる東濃地方東部との境にあり、この地域のヒノキは
「東濃ヒノキ」と呼ばれるブランドヒノキで、天然の
「木曽ヒノキ」とほぼ同じ性質を持っています。
木曽ヒノキは
「法隆寺五重の塔」や
「伊勢神宮」に使われる名木で「木は檜、花は桜木、人は武士」と昔から言われるくらいの木です。
この地は寒暖の差が激しく養分の少ないヤセ地ですが、厳しい環境が他に類をみない素晴らしいヒノキを生み育てています。
※注:「木曽ヒノキ」とは、木曽地域から裏木曽地域(飛騨南部、東濃地域)にかけて分布する天然ヒノキを指す言葉です。
RENOKAに使われる
「鉄脚」ですが、地元の鉄工所で作っている
完全オリジナルな鉄脚です。
一本づつ丁寧に仕上げています。しかも「鉄棒」にこだわっております。
通常、家具に使われる「鉄脚」というと鉄パイプを加工したものがほとんどですが、
RENOKAでは「鉄棒」を使用しております。
パイプだとどうしても先端にキャップやアジャスターをつけることが多くなります。
家具のスタイルを考えると鉄棒を削って面出しをした方がシャープさが増しますし、古い家具にプラスチックは似合わない...。
昔の家具が、木と鉄しか使われていなかったから、やはりRENOKAも
「木」と「鉄」にこだわって作りたかったのです。
鉄棒にすることで良いことも確認できました。
重量が増すことで
ガタつきを押さえ、家具の安定感をもたらしてくれる重要な
「鉄棒脚」です。
本来、家具などの木製品(樽や桶)なども直しては使うものでした。
昭和になり、高度成長期と共にたくさんの量産品が作られるようになり、無垢材ではなく新建材(ベニヤ板、ラワン合板等)を使った家具が数多く出回るようになりました。そして次第に
無垢材を使った家具が減っていったのです。
最近よく耳にする
「古民家再生」「before after」は、家だけではなく、家具でもそうされるべきだと思います。
おじいちゃんやおばあちゃんの代から受け継がれてきた、思い出の残る家具を、カタチを変えて使ってみる。
日本の良い伝統を継承して家具再生に取り組んでいます。