◆超音波洗浄とは
工業製品の品質を高める超音波洗浄
超音波洗浄は、水や溶剤を超音波により振動させ、被洗浄物(ワーク)に付着した油や微細な塵・汚れなどを洗浄する技術です。身近なところでは、メガネ店の店頭に置いてあるメガネを洗うための超音波洗浄機があります。産業用としては、機械部品の金型、工具等の切削油、切削粉・切粉(キリコ)、研磨粉(バフ 粉)や離型剤の除去、メッキの前の脱脂洗浄、鉛フリーのプリント基板のフラックスの除去や半導体部品の洗浄など、幅広い用途で利用されており、工業製品の歩留まり向上、品質向上に大きく貢献しています。
また、超音波洗浄機は、「洗浄」のみならず、脱泡・脱気、分散、撹拌や破砕などの用途に使用されています。
◆超音波による洗浄の原理 超音波洗浄は、超音波の”物理的作用”と洗浄液の”化学的作用”を組み合わせることによって、洗浄効果を得ています。
●物理的作用 キャビテーション、振動加速度、直進流などが、汚れを剥離、分散、乳化します。
●化学的作用 洗浄液による化学的作用と、超音波による化学反応促進作用が汚れを溶解・分解します。
◆超音波洗浄の仕組み
【キャビテーションによる洗浄】
液体中には無数の気体分子が存在し、20kHzから100kHzほどの協力は超音波が液中に照射されたときに、正・負の圧力がその気体分子に交互にかかりま す。正の圧力で圧縮された気体分子は、次の瞬間には負の圧力により激しく膨張します。この繰り返しによって圧縮時に気体分子は非常に高い圧力を持ち、その 限界で弾けて消滅します。この非常に大きな衝撃的圧力の発生を「キャビテーション現象」といい、泡が弾ける時の衝撃波がワークに作用して、異物を剥離させ る作用を「キャビテーション効果」といいます。
主に低・中周波での洗浄作用です。
実際に超音波洗浄機を使用する上では、キャビテーションは液深、液種によっても発生の仕方が変化します。このため良好な超音波洗浄を行うには、これらの管理が不可欠です。
【粒子加速度による洗浄】
加速度による超音波洗浄は、水分子が加速されワークにぶつかり、その衝撃によりワークからパーティクルを剥離させます。周波数が高ければ高いほど効果があ り、付着力の弱い非常に微細なパーティクルの剥離に有効です。加速度は周波数の倍数の2乗に比例して大きくなり、波長も小さくなって、より微細なパーティクルに対して有効です。
主に中・高周波での洗浄作用です。
【直進流による洗浄】
超音波エネルギーが0.5W/cm2以上になると振動面から遠方に向かって直進流が発生します。これが塵埃の分散に寄与していると考えられています。
主に中・高周波での洗浄作用です。
|