「イタリアワイン・ルネッサンス」を牽引した人物がアンジェロ・ガヤ。葡萄造りの五代目はピエモンテ州のスターになりました。彼はカリスマ性があり、経営のセンスに溢れ、造り出すワインは高品質。豊かで力強く凝縮感のあるワインは30年以上の熟成でやっと飲み頃を迎えます。人気が出ないはずはありません。
1940年生まれ。国立醸造学校を卒業して1961年に父のアジェンダ(ワイン醸造所)に入りました。この時からワインの大改革が始まります。海外を視察し、良い畑を取得し、旧態依然とした栽培方法にも良いと思った事は挑戦する。それは今では当たり前の収量の削減、ボルドーから買い上げた樽での熟成。ワインの劣化を防ぐ為にサルデーニャ島で特注の長い6cmのコルクを造らせる。単一畑の生産など。改革を推し進めるアンジェロを見て回りは「あの家は破産する」と噂しました。全てはバルバレスコをはじめとする自社のワインを最高の品質にする為。やがて、品質の良さが認められて1970年代後半からワインが売れ始めます。
その前にピエモンテを代表する品種、ネッビオーロ(黄金の霧という意味)を畑から引き抜き、フランス原産のカベルネ・ソーヴィニョンに植え替えてしまう。それを見た父ジョヴァンニが「ダルマージ」(なんて残念な事をするんだ)と叫びました。が、それをワイン名にしてしまうユニークさ。イタリアワインの帝王になっても挑戦はまだまだ続いています。