北イタリアのピエモンテ州では、イタリアの最も高貴な赤ワインをつくりだすと見なされているブドウ品種。イタリアの人々にとってネッビオーロは、フランスのピノ・ノアールと同等の位置づけにあります。実際、両者には類似点がいくつかあります。まず、両品種ともテロワールの影響を受けやすく、理想的な条件下でしかよく成長しません。また、ピノ・ノワール同様、ネッビオーロのアロマやフレーバーは、どんなワイン愛好家の理想も叶えるほどの高い水準にまで達することができます。そして、両者とも口が広くボウルの大きいワイングラスで飲むのが最適です。（イラスト参照）
ただし、ネッビオーロは飲み頃になるまでに相当の熟成期間を要します。タンニンが強いので、若いうちはとても渋くワインが閉じた状態で、深みのある香りが開いていない印象を与えます。ネッビオーロは、開いた状態になるのに少なくとも5年から10年を要します。

最高級ワインはバローロ産とバルバレスコ産です。バローロはより骨格のしっかりとした男性的なワインであるのに対し、バルバレスコはより繊細で上品なワインであることから、イタリアではバローロはワインの王、バルバレスコはワインの女王と呼ばれています。多くの一流生産者が瓶内熟成20年以上のワインを造っています。ゆっくり熟成された最上級のバローロとバルバレスコは、記憶に長く残るほど魅惑的なアロマを放つ複雑さと深みが出て、高級フランスワインに匹敵するワインとなります。

ネッビオーロという名前は、10月下旬の収穫期にアルプス山脈から発生し、ピエモンテ州に立ちこめる霧 (nebbia) に由来します。