地球上で紛れもなく偉大なワイン産地であるボルドー地方。
他の産地を凌駕するのは長命さだけではなく、その時間によりボトル内の成分を変化させながらしなやかに熟成していくからです。
しかし、8000以上のシャトーが年間平均6億5千本以上を生産する中で、最も有名なシャトーが占める割合はたったの2%です。
ボルドー(Bordeaux)という地名は「水のほとり(au bord de l’eau)に由来します。
大西洋岸に位置するボルドー地方はガロンヌ川とドルドーニュ川が合流してジロンド川となり、大西洋に注ぎます。この3つの重要な川の回りが重要な産地です。
ボルドーワインは赤、白ともに複数のぶどう品種をブレンドして造ります。
生産量の約88%を占める赤ワインは特に英国で「クラレット」と呼ばれています。
赤ワイン用の主要品種はメルロー(フランスで最も多く栽培)とカベルネ・ソーヴィニヨン。
これらを主体にカベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、マルベック、カルメネールがブレンドされます。
白ワイン用品種のメインはソーヴィニヨンとセミヨン。時にはミュスカデルをブレンドして甘口、辛口両方のワインが造られます。

ジロンド川左岸のメドック地区には優れたシャトーが存在します。主要なAOCにはグラーヴ(赤、白)、マルゴー(赤)、ポイヤック(赤)、サンテステフ(赤)、サンジュリアン(赤)などがあります。これらの地方のワインはタンニンが多く渋味の強いカベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたブレンドが一般的です。ドルドーニュ川を挟んで対岸である右岸の主要AOCはサン・テミリオンとポムロールがあり、ふくよかな味わいのメルロー種が使われます。

ボルドー地方にはいくつかの格付けがあります。最も有名なのはパリ万博の際にナポレオン3世の命令を受けて制定された1855年のメドックの格付けです。
それまでの約100年間に渡る取引価格を基に決められました。
選ばれた61シャトーが第1級から第5級に分類されています。第1級と近年、スーパー・セカンドと呼ばれる第2級は特定の最良なテロワールから生み出されています。
1973年に唯一、シャトー・ムートン・ロートシルトが第2級から第1級に昇格しました。
それ以外は現在まで変更がされていないことに批判もない訳ではありません。
メドックの格付けの約100年後にグラーヴ地区とサン・テミリオン地区で同様の格付けが制定されました。ポムロール地区には格付けはありません。
その他の分類としては後にクリュ・エクセプショネル、クリュ・ブルジョワ・スペリュール、クリュ・ブルジョワが追加されています。


ボルドー地方は赤道と北極のちょうど中間である北緯45度に位置し、その気候は晩熟型ぶどう品種(カベルネ・ソーヴィニヨン)の栽培に適しています。
さらに、近年の猛暑で状態の良い収穫年が増えています。
これ以上の地球温暖化は心配ですが。