こんな「和菓子」、見たことない!
高級干し柿「堂上蜂屋柿」を、フランス産のクーベルチュールチョコレートで包みこむ。
大胆で贅沢、モダンな和スイーツの登場です。
半世紀つづく老舗和菓子店。
長く愛される秘訣は「温故知新」の想い
1960年の創業から、地元・美濃加茂を中心に、地域の皆さんに愛されている人気の老舗和菓子店「みのかも金蝶堂」。
美濃太田駅から徒歩5分、美しい木目が印象的なモダンでシンプルな和の建物は、飛騨高山の木工房「オークヴィレッジ」の仕事。2014年に移転改装されました。
「誰に見られても恥ずかしくない仕事をしようという真摯な姿勢は店舗建築の思想に引き継がれています」
(引用元:オークヴィレッジ木造建築研究所・施工実績より)
「2代目として現在代表を務める父からは、『いつ誰に見られても恥ずかしくないこと』『つくるときこそ綺麗な仕事をすること』と、厳しく教えられますね」 そう語る、みのかも金蝶堂の長尾竜之介さん。お父さまの跡を継ぎ、3代目になられる予定です。
粉ひとつ落ちないように、細かいところまで目を配りながら和菓子をつくる。
もし落ちてもすぐに拭く。工程ごとに丁寧に掃除する。そのため、いつも仕事場は美しく、業務後の掃除は不要だとか。すごい。
そんなみのかも金蝶堂が、創業から大切にしているモットーが「温故知新」。
木の温かみを生かした建物はもちろん、店内に陳列している「あんプリン」や、どら焼きにバターを挟んだ「ばたあどらやき」、食べられる花・ローゼルを使った琥珀羮(こはくかん)「赤華結晶」に、葛粉100%のアイスバーのような創作和菓子などなど…… 和と洋が絶妙に織り合わさった、まさに「温故知新」の宝庫。
「故きものの良さを大事にしつつ、新しいことに挑戦する」を胸に、次々と新しい和菓子を開発してきた2代目。
そんな父の背中を見ていた竜之介さんは、美濃加茂市から人気セレクトショップ監修のもとでの商品づくりの話が舞いこんだときも、ためらうことなく手を挙げました。
特別なときだけでなく、いつも身近に。
「和菓子」は人と人をつなぐツール
人気セレクトショップ監修のもと仕上げたのが、今回ご紹介する「堂上蜂屋柿しょこら」。
中心となる材料には美濃加茂の素材を使いたいと、贈答品としても重宝される、地元・美濃加茂産の高級干柿「堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)」を選びました。
高いものでは1つ3000円もする蜂屋柿ですが、形が整わないものは味が良くても贈答用には使えず、もったいない状況になっているそうです。この堂上蜂屋柿を活用し、若い人の口にも合うチョコレートやアイスクリームなどとの組み合わせを考案。
試作と試食を重ねて、フランス・ヴァローナ社のクーベルチュールチョコレート4種が選ばれました。総カカオ分が35%以上という厳密な規格をクリアしたクーベルチュールチョコレートです。
キレのあるブラック(写真左)。
ミルキーなホワイト(写真中央左)。
甘酸っぱいフレーズ(いちご)(写真中央右)。
優しい甘みのミルク(写真右)。
食べ比べて、自分好みの味を見つけるのも楽しそう。
その土地の文化や季節を表現することも多い和菓子は「人と人をつなぐツール」。だからこそ「特別なときだけでなく、いつでも気軽に楽しんでいただきたいですね」と竜之介さん。
「この堂上蜂屋柿しょこらが、若い方が和菓子を知るキッカケになったら嬉しいですね」
そういえば、この日インタビューをさせていただいたのは、みのかも金蝶堂の店内にある喫茶スペースなんです(注:2021年3月現在はコロナ下で休業中です)。
落ち着きのある美しい空間で、菓子をいただきながら、交流をはぐくむ。――まさに、「人と人をつなぐ」。ここでも、その想いが形になっているんですね。
新しい挑戦を続けながら、忙しくお店を切り盛りする皆さん。喫茶スペース再開の日も待ち遠しいです。
最後に、不躾な質問をしてみました。
「竜之介さんにとって、和菓子ってなんですか?」
すこし考えたのちに、すてきな笑顔で答えてくださいました。
「人生ですね」
生まれてから今まで、ずっと付き合ってきたもの。これから死ぬまで、ずっと付き合っていくもの。
みのかも金蝶堂の「温故知新」の歴史が奏でる、美濃加茂の新銘菓「堂上蜂屋柿しょこら」。
身近な方への贈りものにいかがですか?
レポート:橋本 佳奈 フォト:小池 輝、丹下 恵実 編集協力:谷 亜由子
(2021年3月1日掲載)
↓堂上蜂屋柿についてはコチラ↓