磨くのではなく、傷つける。
今回お邪魔したのは、美濃太田駅から車で5分、金属研磨企業の「株式会社美光技研(びこうぎけん)」さん。1973年創業の会社です。
研磨というと削ったり磨いたり、表面を平らにするイメージですよね。美光技研の誇る技術は違うんです。
「うちの研磨方法は国内唯一、競合他社がほとんどありません。金属の表面をキレイにするのでなく、逆にわざと傷つけることで、美しく輝かせているんです」
と、美光技研・代表取締役の和田昇悟さん。
美濃加茂に、こんなオンリーワン企業があるなんて。
「研磨で模様を施していますが、表面はツルツルなんですよ。よかったら実際に触ってみてください」
「ツルツル……本当だ、まったく凸凹していません!不思議!」
「そうなんです。傷つけると言っても実際は数ミクロンの線を均一に描くことで金属に紋様を施しています」
研磨の種類によって、線は2〜3ミクロンだったり10ミクロンだったりするそう。極繊細な技術があるからこそのデザインなんですね。
「それにしても、光が美しすぎます!」
私が手にした名刺ケースは、ピンクとイエローグリーンの光も揺れて見えました。
「それは干渉色です。(素材と研磨傷と光の)化学反応によるものですね」
「かっこいい」
この干渉色は自由に制御できず、出ないこともあるそうですが……本当に美しくて、ユラユラ揺らしながら、いつまでも見ていられます。
いけない、取材しないと。
「目にしたときの感動を」――美しいデザインは会話を創りだす
美光技研の仕事やデザインをまとめた展示室にも案内していただきました。
「美しい……!!!」
思わず漏れるため息。やっぱりどれを触ってもツルツル、でも、光は揺れて輝いています。3Dのように光が浮かび上がるものもあります。
美光技研の研磨デザインは、有名テーマパークのアトラクション装飾や有名ブランドの店舗外装などに生かされています。確かな技術への評判は口コミで広がり、幅広い分野から依頼があるそうです。
和田社長の手には、黒鯉(こくり)。
この名刺ケースが生まれた背景について、「研磨デザインをさらに多くの方に知ってほしい、もっと身近に届けたいという想いですね」と和田社長。
「名刺ケースは人の前で出すものですから。目にした相手の方にも感動してもらえたら嬉しいです。美しいデザインはコミュニケーションにつながる、人と人の間に会話がうまれるキッカケにつながると信じています」
デザインは4種類。
「黒鯉(こくり)」――水面に浮かぶ鯉のうろこを思わせる、力強くも静謐な陰影模様。
「駕籠(かご) 銀」――伝統の格子文様をモダンに昇華。気品と安定感を兼ね備えた、静かなる主張。
「青海波(せいがいは)」――広がる穏やかな波を表現した、優美で清らかな陰影模様。
「七宝(しっぽう)」――円が重なり連なる、調和と繁栄を象徴する陰影模様。
どのケースの素材も、宇宙部品などに使用される、軽くて強固なジュラルミン無垢材、その中でも高品質な古河スカイ製のジュラルミンA2017Sとのこと。
さらに、名刺入れ内部にも丁寧な細工が!
名刺入れ内部には滑り台のような3次元加工、驚くほど滑らかに名刺を取り出せます。頂いた名刺は加工した溝で滑らかに一番下へ、次の名刺交換で困りません。スプリングと銅球を使用したラッチ機構で心地よい開閉感、名刺が飛び出す心配もありません。スプリング、鋼球共にステンレス製で錆びることはありません。
(引用元:美光技研オリジナルブランド「MIHIKARI」ウェブサイト)
美光技研の新たなブランド「MIHIKARI」手のひらに匠の光
斬新な発想で創業した祖父と、企業を強固にした2代目の父を見ながら、1年半前に跡を継がれた3代目の和田社長。
「技術をさらに磨きながら、他の企業や自治体とも連携していきたいですね。これまで弱かった広報なども強化していきます」
オリジナルブランド「MIHIKARI」の立ち上げも、そのひとつ。今回の名刺ケースは「MIHIKARI」ロゴの美しい桐箱で届きます。大切な方への贈り物にも最適。
美光技研のこれから、「MIHIKARI」の今後のラインナップも楽しみです。
メイドインミノカモな匠の光、あなたの手のひらにもぜひ。
レポート:橋本 佳奈 フォト:小池 輝 編集協力:谷 亜由子
(2021年3月1日掲載)