その後ベルリンでリストの高弟であるマルティン・クラウゼに師事しています。1914年にはベルリンでデビューし、メンゲルベルクやフルトヴェングラーなどの大指揮者と共演し、その名声を確立させました。1941年のカーネギー・ホール・デビューを機会に、その翌年本拠地をアメリカに移すことで、活動の舞台を世界へと広げました。レパートリーの広い人でしたが、とりわけ、ショパンやリスト、ベートーヴェンの演奏にて、並ぶ者のないほどの高い評価を受けています。またベートーヴェン、ウェーバー、シューベルトのソナタ連続演奏会を行ったことでも知られています。このCDに収録された演奏は、どちらもWDR(ケルン放送)に保存されていたオリジナルのテープの復刻です。ショパンの方はクレンペラーが指揮したという、とても貴重なもの。これまでにも出所のわからない復刻盤が出ていましたが、こちらは確かな音源を新しくマスタリングしたものであり、その点でもご満足いただけるのではないでしょうか。この演奏について、批評家ジェド・ディストラーは「感情的な新鮮さと自由なフォルムはまさに理想的であり、彼の比較的慎重なスタジオ録音とは鋭い対比を見せる、活気のあるパフォーマンスである」と述べています。ベートーヴェンの協奏曲も1955年のスタジオ録音を凌駕するものと言えそうです。
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