アルメニア音楽の擁護者コミタスによる美しい作品を弦楽四重奏で
幼い頃に両親を亡くし神学校で育てられ司祭となった後、ベルリンで音楽を学び、アルメニアの民族音楽復興の立役者となったコミタス(本名:Soghomon Soghomonian)は、グレツキやシュニトケら「旧東側」の作曲家たちと同じく冷戦終結頃から注目されてきました。映画にもなったことで日本でもカルト的な注目を浴びた存在のひとりです。アルメニア民謡に取材した作品を多く作り、イスタンブールで大きな合唱団を率いるなど、アルメニア音楽の擁護者として活動しました。
しかし1915年4月24日、他の約270人ものアルメニア系知識人たちと共に追放されてしまい、その作品の多くは破棄されるという目に遭います。その後生きて帰ったものの立ち直ることが出来ず、亡くなるまでの20年間はパリの精神病院で暮らしました。残った僅かな資料から弦楽四重奏用に編曲された作品が、ここに収録された14曲。いずれもアルメニアの民謡らしい素朴な美しさに溢れています。
併せて収録されたアルメニア系フランス人アレシアンの四重奏曲は、より現代的に洗練された手法でアルメニア音楽の特性を伝えています。
ブリュッセル王立音楽院のアルメニアにルーツを持つ女性奏者たちにより、2016年に結成されたアクタマル弦楽四重奏団。トルコ最大の湖ヴァン湖に浮かぶ、10世紀に建てられたアルメニア教会の遺跡のあるアクタマル島からその名を取り、東西文明の架け橋ともいえるアルメニアに根ざした活動で、多くの作曲家にも支持されています。
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