ピリオド楽器で蘇る当時の響き、
バルデイルーと友人たちが奏でるモーツァルト
現代最高のクラリネット奏者の一人、ニコラ・バルデイルーによる「モーツァルト: クラリネット作品全集」待望の第2弾。このシリーズでは当時の楽器の徹底的な探求により、モーツァルトが思い描いた音響を鮮やかに蘇らせることに主眼が置かれています。
今回の聴きどころは、晩年の傑作「クラリネット協奏曲」におけるピリオド仕様のバセット・クラリネットの使用といえます。この作品を捧げられた当時の名手アントン・シュタードラーと、楽器製作者テオドール・ロッツの協力により1788年頃誕生したバセット・クラリネットは、低音域をクラリネットよりも拡張しており、現代の楽器の均質化された音色とは対照的に、暗く振動する低音から輝かしい高音まで、非常に幅広い音のパレットを持っています。バルディルーは150年ほども忘れられていたこの楽器を独自に再現し、演奏に於いてはその固有の脆弱ささえも表現に取り込みながら、一音一音を彫刻するように作曲家最期の創造的な衝動に肉薄しています。
一方、若き日のパリで構想された「協奏曲交響曲」は、各ソリストが当時のパリで使われていたものの厳密な再現楽器を用いた世界初の録音です。トランペットとホルン二刀流の名手ダヴィド・ゲリエや若き才人ガブリエル・ピドーらが、個性の異なる4つの管楽器で繰り広げる会話はまさに演劇的であり、現代楽器では味わえない各楽器の際立った個性とともに、当時のパリのバイタリティをも伝えているようです。
単なるノスタルジーを超えた、真実の響きへの挑戦とも言えるアルバムです。
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