教師、オルガニストとして将来を嘱望された青年が挫折、復活を遂げた頃に書いた作品たち
大量にあるにも拘わらず、レーガーのオルガン作品があまり聴かれることがないのは、曲の渋さも原因の一つではないでしょうか? このアルバムに収録されている曲を聴いていると、そのような思いを拭うことができません。オルガンというと「華やかな降り注ぐ音」というイメージがありますが、これらの曲はもっと内省的で、外に向かってパワーを放出するのではなく、ひたすら内面の充実を図っているかのような印象を受けるからです。と言うのも、H.リーマンに作曲を学んでいた頃、若きレーガーはいくつかのオルガン作品を彼のもとに送り、その才能を認められたのですが、兵役を済ませて戻ったレーガーはすっかりうらぶれてしまい、自宅で両親と共に静養しなくてはいけなくなってしまいました。13のコラール前奏曲はそんな頃に書き始められた作品ですから、内省的になってしまうのも頷けるというものです。なお「12の小品」第7,8番は第8巻(8.570455)に収録されています。
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