ガンダーラ仏

　天竺堂の倉庫には私も知らない作品が眠っていることがあります。

　私の父の若い頃、アフガニスタンはまだ平和でバスで横断することも出来ました。

　ほとんど世界地図のような大縮尺の地図を見ながらダニだらけのバスを乗り継いだそうです。

　本作は、そんなおおらかな時代だからこそ入手できた作品群です。

　ガンダーラはアフガニスタンの北部にあり、古代の交通の要衝にあたります。

　紀元前四世紀のアレキサンダー大王の東方遠征以来、ギリシア文化やインド文化など東西文明の交流がさかんな土地となりました。

　もともと仏教徒は仏像を作らなかったのですが、ガンダーラにて、神像を作るギリシア人に影響を受け、歴史上初めて仏像が作られました。　

　ガンダーラの仏像は、ミロのヴィーナスの遠いいとこと言っても良いのかもしれません。

　そのため、ガンダーラの仏像は、顔の彫りが深く、髪もギリシア風の巻き毛なのです。

　古代地中海世界とガンダーラ。

　気の遠くなるような文化の交流が、遙か彼方でおこなわれました。

　アルカイックな雰囲気をたたえ、時間の止まったようなガンダーラ仏は、きっと貴方を遠く時空の彼方へと連れて行ってくれることでしょう。

　美術品としての価値も高く、同じものは二つとありません。

　こだわりのインテリアという意味でもこれに勝るものはほとんど無いと思います。古代の文明に思いを馳せる、そんな方にお持ち頂きたい作 品群です。