手に握ると、暴れる鮎の身の固さが小気味良い。ビシッと引き締まっている。
専用に開発された配合飼料を一日4回給餌するが、その甲斐あってタンパク質やビタミンなど栄養価の高い健やかな成魚になるという。
ピーク時は早朝5時半から夕暮れまで、鮎の世話は盆も正月もない重労働だが、「築地をはじめ、素材にこだわる多くの料理人に絶賛していただいてきた」のが、鮎屋の誇り。
旬は初夏から始まるが、旅先で食す川釣りの一尾の泥臭さや身の痩せ方に、多くの人が味より風情で仕方なく折り合ってきたのではなかろうか。しかしながら、鮎は日本古来の素晴らしい食材。「旨くてこそ鮎」である。
最良の水や餌の環境を整え、わずか0.5gの稚魚から、その生来的な味の資質を最大限に引き出すために人力を投じる。 それが、ここでの仕事の真骨頂なのである。
まずは一度、塩焼で。サンマとみまがう脂の乗り方に、鮎の旨さを、その王道の味を、初めて実感するはずだ。
鮎は6月から9月上旬の一番美味しいと言われている若鮎を氷で〆て、即冷凍保存するため、一番いい状態の鮎を通年でお届けできます。正月用の昆布締めにも最適。塩焼きは遠火の直火が基本ですが、電子レンジを「魚焼き」モードにセットすれば、中までしっかり火が通り、ご家庭でも失敗がありません。高級料亭では鮎屋の活き鮎を2、3日水槽で泳がしてから調理するほど、脂の乗りが自慢です。