
平成29年、開発した装置を活用して宮崎県産麦芽100%ビール「YAHAZU」をリリースしました。「このビールを飲みに宮崎まで来て欲しい!このビールが観光・飲食店業の活性化に繋がれば・・」という想いから地元飲食店限定で提供しており、現在もお客様から非常に好評価を頂いております。
○ホップ栽培開始!
宮崎県産原料100%ビールの先駆けとなるYAHAZUの商品化に成功し、残された課題は「地元産ホップ」のみとなりました。ホップは東北地域などの寒冷地が主産地です。当時、ホップは島根県以南で栽培された実績が無く、農産園芸の専門家からは「九州での栽培は非常に困難」と言われておりました。
それでも諦めきれず、「まずは先進地を観てみよう」という事で、H28年にドイツ・バイエルン州のホップ生産者を訪問。ホップ棚の規模に圧倒されながらも、宮崎県でのホップ栽培への想いや気象データを伝えたところ、やはり「難しい」との回答でした・・。難しいと言われれれば言われるほど、宮崎県産100%ビールへの想いは募るばかり。
とにかくまずは植えてみよう!
ホップ苗をアメリカから取り寄せて、地元のお茶農家さん(亀長茶園)の畑にホップ棚を製作、200株程植栽させて貰いました。
その後、幸運にもキリンビールの技術協力を頂く事が出来、岩手県の生産現場の視察や生産者様との意見交換を経て、平成29年には県内農業者3者と県総合農業試験場(宮崎県薬草・地域作物センター)で「宮崎県ホップ生産者協議会」を設立、組織的にホップ栽培に取り組んでいく事となりました。
直面する困難・・・九州産ホップは無理なのか・・・
植え付け初年度から4年目まではホップ株が順調に成長しました。分かった事は、温暖な九州ではホップの「つる」の伸びが早く、じっくり成長する寒冷地に比べて「毬花(まりはな)」の収穫量が少なくなってしまう事。「九州産ホップは大量生産は難しいけど、クラフトビール向けの少量生産であれば全然成り立つ!!」自信に繋がった4年目でした。

しかし、本当の試練は5年目(令和2年)に突然訪れます。圃場に植栽していたホップの株がほぼ全て「根腐れ」を起こしてしまったのです。掘り起こしても、掘り起こしても株が見つからない・・この時のショックと絶望感は今でも忘れません。

根腐れの原因を探るべく、農業試験場の協力の下、土壌調査を実施。原因は、圃場の「水はけの悪さ」という事が分かりました。。
そこからビール醸造スタッフ総出で土壌改良作業に取り掛かります。
約2か月の間、重機を刈り出し、排水パイプの埋め込みなどの土木作業。

ついに排水改善に成功。老朽化した木製ホップ棚も私たち自身の手で耐久性の高い鉄管製に改修しました。

そして、ホップオーナー制度の立ち上げへ
心機一転、令和2年5月に新たなホップ株をアメリカより300株仕入れ、万全の体制で再スタート。根腐れも起きず、初年度としては上々の収穫量を得る事が出来ました!!
とはいえ、九州でのホップ栽培はまだまだ未知の分野です。病気、害虫、生産規模の拡大・・抱える課題は数多く、また、農業としての軌道に乗るまでは、ホップ農家さんへのメーカー側からの継続した支援が欠かせません。
宮崎県産100%ビールの継続した生産を実現する為、皆様からのご支援が頂ければ・・との思いから「ホップオーナー制度」を立ち上げました。
○タンクまで地元産!?こだわる理由。
麦芽やホップなどのビール原料は、欧州などの海外産がコスト安である事は否めません。それでもなぜ私達がコスト高な地元産原料、しかも100%使用に拘りたいのか。それは、私達がクラフトビールという産業を「持続的に地方経済を支える事ができる産業の一つ」と捉えている為です。
具体的に説明すると、「地元産原料でビールを造り、地域外に販売して外貨を獲得する事で、その外貨を農業者さんをはじめ地域内に再分配できる産業」という事です。勿論、地元産原料の使用率が高いほど、地域での経済効果が高まります。
地域への経済効果は原料に限っての事ではありません。例えば、ビールタンク等の設備もそうです。「宮崎県産100%を目指すなら、原料だけではなくビールタンクも地元でを造りたい!!」そんな想いが芽生えました。
九州ではこれまでにビールタンクが製作された実績がありません。「工業都市延岡の鉄鋼技術を以ってすれば、ビールタンクが製作できるんじゃないだろうか?」正直、海外製であれば製作コストは半分以下に抑える事ができます。社員の反対もありましたが、無理を承知で地元鉄鋼業者に製作を依頼、長年培われた熟練の技術で、立派な大容量ビールタンクが10基製作できたのです。
私たちの様な小さなビールメーカーがこの様な活動をした所で、地域に与える経済効果は微々たるものなのかもしれません。
ただ、クラフトビールという産業は「畑から商品が出来て飲食店などの市場で提供される」という一連の商流が、とても身近でイメージし易い産業だと思うんです。私達の取り組みがモデルケースとなって地域内の他の産業に波及していけば、いずれそれが大きな潮流となって、本当の意味で自発的な「地方創成」を産み出す事が出来る・・と本気で考えているのです。

○コロナ禍という新たな試練。だからこそ。
新型コロナウイルスの感染拡大は、飲食業・観光業、そこに食材を提供している一次産業者や食品加工業者、卸屋などの流通業者にも大きなダメージを与えました。毎年10%以上の成長率で市場を拡大して来たクラフトビール産業も例外ではありません。2021年初頭からの緊急事態宣言の発令に伴い、主要都市へのビール出荷量は激減・・当社もこれまでに経験の無い大きな試練の時を迎えています。
こんな時だからこそ、「宮崎県産ビール」で、地元農業者の方々に元気をお届けしたい!!ワクワクする様なビールを造って皆に笑顔をお届けしたい!!そして、「地元産ビール」という取り組み自体が全国に波及すれば、クラフトビールが地域経済を支える産業の一つとしてそれぞれの地域に根付いていけるのではないか。
・・そんな想いと当社の長年の「夢」がこのプロジェクトで実現できればと思っています。
◆ホップオーナー制度の概要
・宮崎県内圃場のホップ1株の年間オーナーになって頂きます
・オーナー様専用グループで、成長の様子をご確認♪
・スタッフが収穫後、オーナー様全員分のホップでビールを仕込みます(7-8月)
・出来上がったビールをオーナー様にお届けします(9-10月)
◆特典
・オーナー様限定イベントも!収穫量に応じて豪華プレゼントをGETできるかも!?
・今年はリアル開催??ホップ収穫祭で盛り上がりましょう!
・最後はフレッシュホップビールを片手にみんなで乾杯~~!!
ホップオーナー制度は、皆様と一緒に楽しみながら宮崎県のホップ栽培に取り組む楽しい企画となっておりますので、ぜひご参加お待ちしております!
◆2022年の様子・・・ご希望いただいたオーナー様と一緒に収穫、オンライン飲み会で乾杯しました♪


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