糖代謝を促進するR体α−リポ酸の包接化で効果アップ
寺尾啓二/中野正人 共著 文庫サイズ・48頁
まえがき ―― 包接化による「R(+)―α―リポ酸」の安定化
日本でα―リポ酸のサプリメント化が可能となり、その製品が流通するようになったのは二〇〇四年以降のことですが、サプリメント大国のアメリカをはじめとする諸外国では、それ以前から人気のあるサプリメントとして広く利用されてきました。
その一番の理由としては、α―リポ酸が活性酸素の害から私たちの体を守ってくれるから、ということがあげられるでしょう。
活性酸素とは、体内で発生する非常に不安定で強力な酸化力を持つ酸素のことです。
その酸化力による細胞膜やDNAなどへの障害が、さまざまな生活習慣病や老化の原因となります。
α―リポ酸にはこうした活性酸素を撃退する働き、つまり「抗酸化作用」が備わっているのです。
それに加え近年、注目を集めるようになってきたのがα―リポ酸の「抗糖化作用」です。
抗糖化作用とは、文字通り「糖化」を抑制する作用のことですが、この糖化が糖尿病の合併症や老化など、さまざまな健康障害を引き起こすことが明らかになっているからです。
糖質を主なエネルギー源としている私たちは、糖化の影響を受けざるをえません。
本書では、この抗糖化作用を中心にα―リポ酸の健康効果についてご紹介します。
ところで、脂溶性のα―リポ酸の弱点、つまり吸収性の悪さからくる体内での利用率(生体利用能)の低さを改善する目的で開発されたのが、γ―CD(シクロデキストリン)により包接化された「包接α―リポ酸」です。
これに使用されたのが、「R(+)―α―リポ酸」と「S(−)―α―リポ酸」を等量ずつ含むラセミ体と呼ばれるものでした。
実はラセミ体よりもR(+)―α―リポ酸“単独”のほうがより効果が大きいという幾つもの研究報告が存在するにもかかわらず、その極度の不安定性のせいでこれまで製品化できなかったのです。
しかし今回、「包接R(+)―α―リポ酸」がその難問を解決したことで、初めてサプリメント化に成功し、利用できるようになったのです。
●脳梗塞などを引き起こす動脈硬化
日本人の死因の上位を占める、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患や、脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患の原因となるのが、動脈硬化です。
血管壁へのLDL(悪玉)コレステロールの沈着などのために、動脈の厚みが増して硬化し、その結果、弾力性の低下が起こります。
この動脈硬化がさらに進行し、血管が脆く破れやすくなったり、血栓ができて血流が滞ったりすることで、前記のような病気が引き起こされるようになります。
動脈硬化は、脂質異常症(血液中のコレステロールや中性脂肪の量が正常値より多い)や高血圧症などがあると起こりやすいことがわかっています。
●副作用が出る心配は?
R(+)―α―リポ酸は、これまでα―リポ酸のラセミ体を構成する成分として医薬品、あるいはサプリメントとして海外や日本において使用されてきた歴史がありますが、現在のところ重大な副作用は報告されていません。
しかし、まれに冷や汗、動悸、手足のふるえなどの低血糖の症状が現われてくることがあります。
このような場合には使用を中止し、医師などに相談するようにしてください。
また、食品だからといって、一度に大量摂取するのはお勧めできません。
製品ごとに示された用量を参考にしながら、毎日の生活の中で継続して摂取するように心がけることが、健康効果を得るうえで大切になってきます。
目 次 ――
〈コラム〉多方面で活用されるシクロデキストリン
第1章 生体利用能に優れる包接α―リポ酸
・糖代謝に関わるα―リポ酸
ミトコンドリア中に存在
補酵素としてATPの生成に関与
補給にはサプリメントが最適
・注目される二つの薬理作用
抗酸化ネットワークを構築
糖代謝促進による抗糖化作用
・包接化で生体利用能が向上
生体利用能が低い脂溶性物質
吸収性と持続性が高まる
生体利用能向上のカギは胆汁酸
・二種類の光学異性体が存在
R体とS体の二種類
不安定なR(+)―α―リポ酸
包接化により不安定性を解決
第2章 安定性に富む包接R(+)―α―リポ酸
・包接化で光安定性が高まる
ポリマー化しやすいR体
包接体の光安定性向上を確認
・包接化で熱安定性も向上する
残存率が一〇〇%に向上
完全な包接化を確認
・さらに胃酸安定性も高める
胃液中でポリマーを生成
ポリマーはできず残存率一〇〇%
第3章 糖尿病やその合併症対策に役立つ
・血糖値の上昇を抑制する
2型糖尿病は生活習慣病
放置すると合併症の危険が増大
R(+)―α―リポ酸が糖代謝を促進
・アルツハイマー病などに有効
発症の早い神経障害
AGEsの生成や蓄積を抑制
・網膜症や白内障を予防する
失明原因のトップは網膜症
原因は水晶体タンパク質の変性
・腎臓の機能低下を防ぐ
糸球体の毛細血管が硬化
糖尿病が人工透析の最大原因
・肌の老化防止にも力を発揮
肌のハリ、弾力を生むのは真皮
コラーゲンの弾力性が低下
・動脈硬化、骨粗鬆症などの予防と改善
脳梗塞などを引き起こす動脈硬化
コラーゲンの糖化を抑制
高齢者に多い骨折やひざの痛み
骨や軟骨にも存在するコラーゲン
第4章 安全性はどうなのQ&A
Q・R(+)―α―リポ酸の毒性は?
Q・副作用が出る心配は?
Q・摂取を控えたほうがよい人は?
Q・ほかのサプリメントとの併用は?
Q・γ―CDの安全性は?
【ハート出版ふるさと文庫】