声のない動物たちの訴えに耳を傾けてみましょう
飼い主に捨てられ、保健所や動物管理事務所などに
引き取られた犬や猫はどうなるのでしょうか。
『実験動物』とは、医学の研究や薬の開発のために、
痛く苦しい目にあいながら、人間の身がわりとなって、
生きたまま実験をされる、痛ましい動物のこと
井上 夕香 作 葉 祥明 画 2020.12.15 発行
ISBN 978-4-8024-0110-4 C8293 A5並製 164ページ
内容紹介 ――
それは、クリスマス・イブの夜のこと。1匹の白い犬が星になりました。
その犬の名は、シロ。
わずか1年でしたが、シロは愛情をいっぱい受けて旅立てたのです。
シロは虐待を受け、動物管理事務所に連れてこられ、『実験動物』として病院に売られた犬でした。
『実験動物』というのは、医学の研究や、薬の開発のために、痛く苦しい目にあいながら、人間の身がわりとなって、生きたまま実験をされる、痛ましい動物のことです。
体を切りきざまれ、毒を飲まされ、苦しむ状態をつぶさに観察されながら、なぜ、自分が、こんなにひどい目にあわされるのかもわからずに、ひとりぼっちで死んでいくのです。
シロは、病院ですぐに脊髄神経を切断するという、とてもつらい手術を受けました。切られた神経が、どうやって回復するか調べる実験だといいます。
しかし、シロは手術の後、どんな手当もしてもらえませんでした。傷口が化膿し、下半身に膿がたまっていましたが、手術した医者たちは見にも来ません。手術で体力が衰えている上に、疥癬という皮膚病に感染し、全身の毛が抜け落ちました。
このまま放置されれば死んでしまう寸前で、シロは動物保護団体の人たちに助け出されたのです。
そして、かわいそうなシロの姿がいくつものテレビ番組で放映され、新聞や雑誌にも大きく取り上げられると、日本中からシロへの励ましと、病院への抗議が殺到しました。
これは、捨てられ、実験される犬たちと、そうした不幸な犬たちを救うために戦う人々の実話です。
※この作品は2012年9月当社より刊行された『ハンカチぶんこ実験犬シロのねがい』を一部加筆修正の上、リサイズ編集したものです。
目次 ――
Episode: 1 ぐっしょりぬれた赤ちゃん犬
Episode: 2 犬を飼うこと
Episode: 3 もらい手さがし
Episode: 4 チビのゆくえ
Episode: 5 保健所で
Episode: 6 悲しい目をした犬たち
Episode: 7 実験に使われる動物たち
Episode: 8 実験動物への鎮魂歌
Episode: 9 檻の中
Episode:10 おかしな犬たち
Episode:11 救出
Episode:12 がんばろうね シロ
Episode:13 まごころが通じた
Episode:14 聖なる夜に
Episode:15 メリーの手紙
人間と動物 葉祥明
ずさんな動物実験の実態をあばき、犬猫の
実験払い下げを廃止させたシロの事件をふりかえって
NPO法人 地球生物会議(ALIVE) 野上ふさ子