1968年にムナーリは「霧の中のサーカス」を出版し、彼の独創的な方法である「シースルー効果」を活用して魅惑的な美しいイメージを作り上げ、世界中から称賛を受けました。

2年後の1970年、ムナーリはジョヴァンニ・ベルグラーノとこの「プラス&マイナス」を構想し、再び「透明性」のテーマに取り組みました。

この「プラス&マイナス」は絵本ではなく、透明な背景に複数の絵を重ね合わせたり、減らしたり、自由に組み合わせて「絵本を作るゲーム」なのです。

この正方形のカードは、使われている色が絵と完璧なバランスになっており、重ね合わせるだけで自然とストーリーが生まれ、それだけで物語の語り部となっていきます。

無数の組み合わせと無限のストーリーをお楽しみください。

いろんな絵が描かれた透明なプラスチックを「プラス」したり「マイナス」したりして絵を作ってみましょう。 木が描かれたカードを複数枚重ねれば森が生まれます。
森の上に雨や太陽、月、空を飛ぶ鳥たち、散歩する犬のカードなどを重ねていくとどんどん場面が変わっていきます。 カードに描かれている絵は次のようなものがあります。

・動物のカード6枚：鳥、蝶、犬、クモ、ハエ、コウモリ
・植物のカード10枚：木、花、葉、枝、枝、アシ、草
・岩のカード3枚：縦にしたり、横にしたりできます
・その他：星のカード1枚、雲のカード4枚。空に浮かぶ月のカード1枚、小雨から夕立ちまで雨のカード4枚。雪のカード2枚。太陽のカード2枚。
・大きさの違う穴のあいたカード8枚：洞窟を作りましょう。
・クモの巣のカード4枚：クモが巣を作る時の様子を4つの場面に分けたものです。
・橋のカードの上に車のカードを重ねれば、橋を渡る車の場面になります。
・手すり、傘をさした人、自転車に乗った人、家、壁、飛行機や船もあります。
・舟の下に置ける海のカードは、ひっくり返せば飛行機を飛ばす空になります。
・家の中からこれら全部を見わたすことのできる窓のカードもあります。

これらの素材を重ね合わせていろんな絵を作る作業は大人であってもクリエイティブで楽しいものです。
ストーリーを順序立てるように重ねても、意外なカードを重ねても、あるいは順番を入れ替えても、様々な絵と物語が生まれ、それは自由な創造となります。
組み合わせた絵が物語を語り出し、自由な想像が物語をもっと遠くへ連れていきます。