インド刺繍の中でも特にモール糸を使う手刺繍(ザリ刺繍)はインド古来の伝統工芸です。
これはムガール帝国以後マハラジャ(藩王)たちの宮廷衣装や室内装飾、装身具などを飾るため、宝石やビーズと一緒に金や銀のコイル状のものを縫い付けることから始まったといわれております。現在ではエンブレム(ワッペン)などにも多用されています。
17世紀にはマハラジャ(藩王)たちに重用されて発展し、最盛期をむかえましたが、手作業で一針 一針手で付けていくため時間も手間もかかるうえに、使われる素材も豪華絢爛であったため、マハラジャ(藩王)の衰退や産業革命の影響などを受けて、その刺繍文化もやがて衰退していきます。
かつての華麗な刺繍芸術は時代を経て、材料なども大衆化され、今日ではインド女性の民族衣装サリーを始め、様々なものに広く用いられるようになりました。
金属コイル状の材料(モール糸)で中が空洞になっているところに針と糸を通し、布地に縫い付けていきます。
ザリ刺繍に使うモール糸や加工品はインドのスーラトという町の特産物となっていますが、当社の工房があるウッタルプラデーシュ州ラクナウなどでも作られています。
このような特殊な材料を糸やビーズなど他の材料とあわせて使うことにより、より装飾性と独自性の高いインド刺繍が生まれるのです。