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ブル系の極致。歴史の審判はどちらに? 《ボアズ・ビュー》 シャルドネ “ザ・コースト” ソノマ・コースト BOAR's VIEW Chardonnay THE COAST Sonoma Coast
浅からぬ因縁もあり、マーカッサンの最大ライバルと見られるボアズ・ビュー。 90年代よりブルゴーニュ系カルトの頂点と目され、日本市場で手に入れようとすれば、二次流通品(個人買取品にフェイク疑惑品もあり)しか見つけようのないマーカッサンですが(唯の一度も蔵出し輸入は無し)、こちらは中川ワインを介す1stオーナーとなり得る蔵出し品です。
■“Marcassin”とは、「うり坊」の意(子どもイノシシ) 「カリフォルニアのマダム・ルロワ」と言われる程に、ヘレン・ターリー女史(マーカッサンのオーナー醸造家)が、とても気難しいお方とは関係者の間では知られる話で、ブライアント・ファミリーの醸造長退任を巡っては契約先と訴訟沙汰になったり、「困難の末にやっと会えた」という方がドンデン返しを食らったりとか。2000年代半ばよりボルドー系クライアントから身を引いた後、しばらくしてマーカッサンに専念し、そこでの第三者評価実績は10度のパーカーポイント100点。(90年代の国内記事に並び、ヘレン・ターリーはMarcassinをマーカッシンでなく仏語由来のマーカッサン/マルカッサンと呼称)
■“Boar”とは、「親イノシシ」 世界最多のWA究極評価(RP100点×30度超)を誇るワインメーカー、トーマス・ブラウンが醸造長。ヘレン・ターリーの助手を経て、独立後の携わる先としてはシュレーダーがよく知られるでしょう。 アドヴォケイトとスペクテイターによるダブルパーフェクトを同一年に2銘柄も生み出したうえ(史上初)、ガローニ(ヴィノス)初の100点ピノも。2022年にはダブルダイヤモンドをワイン・オブ・ザ・イヤーへと導きました。 自身のレーベルとしてリヴァーズ・マリーとアストンを擁す中、ボアズ・ビューでは再びフレッド・シュレーダー(Schrader Cellarsの創業者)とタッグを組みます。そこで焦点を定めるはブルゴーニュワインの極限。
かつての師(子イノシシ)に対峙し「親イノシシ」とは、なんとも刺激的ですが、さらに挑発的なのがヴィンヤードの位置関係。確たる根拠のもと、マーカッサンを見下すロケーションにあります。
■「マーカッサンやキスラーだけではない。今後のソノマ・コーストからはもっと凄いワインが現れる。」(マーク・オーベール) そんな「真のソノマ・コースト -True Sonoma Coast-」の最重要エリアがフォート・ロス=シービュー(↓地図はクリックで拡大↓)
ピノとシャルドネのRP100点世界最多産地とはいえ、「ソノマ・コースト」ならどこでも良いわけではなく、かねてより広過ぎるがゆえの混乱が指摘され続けたものです。 そういった問題を解消するよう、産地特性の違いに従い、同AVA内に幾つかのサブAVAが新設されました。 (2011年:フォートロス・シービューAVA|2018年:ペタルマギャップAVA|2021年:ウエスト・ソノマコーストAVA) どこを指して“True Sonoma Coast”とするか定義されているわけでは無いものの、当初言われた【真のソノマコースト3大エリア】とは、フォートロス・シービュー|オクシデンタル=フリーストーン|アナポリス近郊。これら3箇所の全てを包括するAVAが「ウエスト・ソノマコースト」であることから、昨今は当該AVAを指して真のソノマコーストとする傾向があります。(それでもかなり広いですが。) 2005年、マット・クレイマーが一帯に関するコラムをWS誌に寄稿します。 キャンプ・ミーティング・リッジ(フラワーズCMR)|ブルースライド・リッジ(マーカッサン/マルティネリ)|ハーシュの各畑が「三大グランクリュ」に挙げられたこともあって、2006年にこの辺りへ訪れることになりました。 全3つのグランクリュが集まる先がフォートロス・シービューですが、ずばり辺境の地。 ロシアンリヴァーの川沿いを下り、太平洋へと近付くに従いレッドウッドの樹林が消え、やがて河口に。西から北へと進路を変え、洋岸山脈の頂上へと続く長い登り道を行くと、途中の風景は牛馬の放牧ばかり。しばらくすると再びレッドウッドの樹に囲まれ、尾根の頂上にあるCMRに到着。途中に人家の一つもないこんな辺鄙な所によく葡萄畑を... 海抜が高く降霧線の上に頭を出す葡萄の畝、(塩害を避けるうえで)太平洋からのちょうどよい距離、太古の海底隆起に起因する複雑な土壌組成、厚い岩盤と薄い表土が導く弱い樹勢等々。数か所に分布する「真のソノマコースト」の中にあって、フォートロスシービューには「ここならでは」のアドバンテージが多岐に及びます。 辺り一帯には、有名なサンアンドレアス断層が走り、プレートのぶつかり合いから尾根と谷が縦横に入り組みます。畑は尾根の上のみにあるので、CMRの畑内に立つと、それぞれの位置関係は「ほぼお隣さん」。谷を隔てた先に、ハーシュとブルースライドリッジを望むなど、見える範囲にグランクリュが集中しています。 畑では、フラワーズのCEOから「あそこがピーターマイケルの畑用地」と指さされましたが、当時は植樹前。後年、パーカー氏初の100点ピノはここから生まれました。ちなみに、ジャスミン・ハーシュさん(ハーシュのお嬢様)と話した際は「どこなの?隣なの?知らない...」と言われたり、もう一つのRP100点輩出源であるマーカッサンの畑は、その所在がミステリアス。栽培専業であり続けたマルティネリが自社レーベルでワインを造るにあたり、単一畑銘柄のブルースライドリッジを含む醸造をヘレンターリーが請負い(今は解消)、代わりに地主であるマルティネリの一部権利を得て、それを自社管理することでエステイトの要件を満たす....といった関係です。(現所有権は不明)
《ボアズビュー》 ピノノワール “ザ・コースト” フォートロスシービュー 【トーマス・ブラウンのコメント】「この年は長く順調な生育期を経て、収穫タイミングを自らの判断からピンポイントに決めることができた。その結果、濃密にして複雑、良質な酸の備わりも申し分なく仕上がりは卓抜。古美術品の真鍮を磨き上げた時のような深い黄金色を示す色合いから、ジャスミンの花、ライラックの花、レモンクリームパイ、白胡椒の香りが波打つように現れる。それはまるでオーケストラのコンサートを聴くようだ。口中では官能的な味わいが広がり、濃厚なウールワックス(ウールに覆われた動物の皮脂腺から分泌される蝋:ラノリン)、クレームブリュレの香ばしさ、スイカズラ、ライチ、ライムの果皮、白桃のニュアンスが調和している。豊かなシャルドネの果実感とフレンチオークの新樽香が特徴的な個性を表し、いたって滑らかなコーティングを施したような仕立て。若い内に飲む際はデカンタージュを推奨すると共に、今後は更なる瓶内熟成も楽しみ。」 ■トーマス・ブラウン 二大批評媒体、ワインアドヴォケイト(WA)とワインスペクテイター(WS)の両誌が、創刊以来レイティング対象としたワインは計50万超。過去数十年に亘るそれら膨大な数の中から、双方よりフルマーク(100点)が付されたシュレーダーの顔でもある醸造家。ロバート・パーカー氏(WA創刊者)とジェームズ・ラウビー氏(WS誌シニアエディター)の双方が共に確定パーフェクト(RP100/WS100)を献上したワインは、世界中を対象としてもシュレーダーカベルネソーヴィニヨンCCSとオールドスパーキーに留まる。また、自身の名を冠すリヴァーズ・マリーで手掛けたピノに、ガローニが100点を献上するなど、ブルゴーニュ品種の醸造においても類稀な手腕を遺憾なく発揮する。携わる先には、シュレーダーの他にもマイバッハ -Maybach-|ジョーンズ・ファミリー -Jones Famiry-|ヘスタン -Hestan-|アウトポスト -Outpost-|シブミノール -Shibumi Knoll-|レヴァナ -Revana-等、錚々たるたるコレクタブル品が並ぶ。 【ワイン造り】良質な果汁を得る為に圧搾は極軽く、それ以外の果汁は2'ndに回される。発酵は天然酵母100%。フランソワフレール、ルモン、ゴーティエ各社製フレンチオーク100%(新樽50%)×10か月樽熟成。清澄濾過なし。