勤勉、情熱、名誉 を重んじるドイツの時計作りにかける想いは、
隣国であるスイスに遅れを取るものではありません。
時計は工業製品として、備えるべき基本性能を追求する
ドイツ時計は、時計職人(マイスター)の手により魂を
吹き込まれた工業機器として、本来の性能を発揮します。
ブランディングによる付加価値の創作、ブランド先行型
マーケティングよりも、メカニズムをより高い完成度へ上げて行く、
物作りを前面に押し出した中世から変わらぬ姿勢。
そこには対価を支払う人間(消費者)とその製品を作り上げる職人が
同じ目線、立ち位置にいる事で、社会システムの平衡・均衡が
バランスする、物作り優先主義の旧ギルド社会の流れが見えます。
ドイツ人は「軸」をぶらさず、スタイルを貫きます。
その国民性がゲルマン気質として、工業製品の基本性能を
高めていくと考えます。
メカニズム、システムが中心に据えられた時計作りには、
デザイナーの意見で無理にパッケージ・レイアウトされる
デザイン優先主義は影を潜め、完成度を繰り返し作り続ける中で
高めていく、ゆっくりと進む『発展(進歩)型』の時計作りの
姿が浮かび上がってきます。
合理的な思考回路を好むドイツ型流通においては、
スイス的な自国ブランド力を前面に出したマーケティングよりも、
品質、基本性能を前面に出すクオリティー第一主義を採る為、
性能を維持できない製造から長期間経った滞留製品の存在が
マーケットに及ぼす悪影響の解消に、目が向けられました。
スイスブランドが作り上げた、ブランディングの壁に、製品の鮮度で挑みます。
そのため、ブランディングの統制に不可欠で、しかし滞留製品の
温床となる流通管理商社を排する流通に目を向けました。
いかに作りたての自慢の製品を消費者の元に届けるか・・・
メーカーの思考は、ダイレクトマーケティング(直接販売)の採用で
製品価格の低価格化と製品鮮度の向上による評価の改善を志向したのです。
簡素化された流通はマーケットにおける製品滞留期間の短縮化に
寄与し、フレッシュな製品でのマーケットからの支持獲得を
目指すあたらしい潮流と言えます。
インターネットの発展は、ドイツ人の合理的な流通志向に合致し、
多くの時計メーカーがダイレクト販売と肥大化した流通経路のカットへ
意欲的に取り組んでいるのが見て取れます。
牛乳は牧場で飲むのが新鮮で美味、同様に時計も作られたばかりの物が、
製作者に納得行くまでチェックされ、送り出されたばかりの物がベストのはず。
理にかなった、物作りを中心に据えたドイツ型の概念です。
そしてまだまだ変化するし、スイスが出来ないことへ
チャレンジしてくる。
この10年でドイツ時計は独自の時計文化の基礎を作り上げ、
更のその歩みを進めるでしょう。
時計は日常生活に密着したもの、ドイツの思考(作り手サイド)に沿って
ユーザーの利便性に立った時計作りを、
ドイツ時計産業は目指しているようです。
以上の理由から、
千野時計店 ドイツ時計館 では、ドイツ時計自信を持ってご紹介します。
※ドイツ人がスイスで作るドイツ系時計も含みます。