西野 竜太郎 頁数:200ページ
◆内容概略
語源による英語学習と、ファンタジーSF小説とが融合した、衝撃の語学フィクション! 物語を楽しむうちに英単語が頭に残る!
数千年後の未来世界。 魔術「語源術」の教師エティモは、島全体が敷地となっている学校に赴任する。ある日、術で動作する偶像が暴走し、生徒を襲うという事件に出くわす。 事件の調査を進めるうち、他界した父が研究していた禁断の術の存在を知る。やがてエティモは、王国を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれる……
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語源術とは、人の思念と「語源石」の力とを組み合わせ、言葉の持つ意味を具現化させる魔術だ。 「proceed」(前進する)という語源術では、ceedという語源石を握りながらpro-を思念する。これによって重い車両や石装甲を「前進」させられる。また、batという語源石を持ちcom-を思念して「combat」術を唱えることで、棍棒を持った偶像を「格闘」させることも可能だ。
もともと語源石は、旧人類が話していた「英語」という言葉から生まれた。 数千年前、旧人類は何らかの原因で99パーセント以上が一気に死滅したという。死に直面した彼らは、自分たちの想いを、当時最も話されていた英語に乗せた。死滅後も言葉はエネルギーとして地球上を漂い続けた。しかし長い年月が経つうち、それぞれの言葉、つまり英単語は、語根、接頭辞、接尾辞に分解した。 「語根」は英単語の核となる部品、「接頭辞」は語根の前、「接尾辞」は語根の後ろに付く部品だ。接頭辞と接尾辞は蒸発して消えたが、語根だけは物質化し、地上に存在するようになった。この物質化した語根こそが語源石だ。
やがて、死滅を免れた新しい人類は、語根である「語源石」を握りながら、消えた接頭辞や接尾辞を念じて補うことで元の言葉を回復させ、その言葉の持つ意味を具現化させる「語源術」を編み出したのだった。
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