ヴァンデルロースト門下の期待の新星、ステイン・ルールスの若々しさと輝かしさに満ちた作品です。
「エッセンス・オブ・ユース」は、オランダのアマチュア芸術振興のための全国組織“クンストファクトル(Kunstfactor)”によって委嘱された作品で、2012年に出版されました。
日本語では“若者のエッセンス”と訳すことができますが、その曲名のとおり、作曲者の実の娘ラウリーンを見ていて感じた若者特有の気質からインスパイアーされた曲です。スコアには、“ラウリーンに捧ぐ”との献辞があります。
曲は、エネルジコと表記された、明るいリズムとダイナミックなコントラストが感じられる輝かしいオープニングで始まり、その後現れるすべての動きは、日常生活で休みなく動き回る子供たちのエネルギーをシンボライズします。作品の主要主題の要素はすべて導入部に現れますが、その中には両親の心強い導きを表すコラールを含み、フルトーンによるモティーフは子供の予測不能性を表しています。
第一楽章は、導入部の勢いの上に構築され、最初のテーマの後、コラールがミュートをつけた金管で再現され、不協和音を対置的に並べることで親子間の緊張を示します。エクスプレッシーヴォの表情豊かな第二楽章は、いろいろな楽器の間を受け継がれていくメロディーを通して、親の愛情と思いやりを伝えています。第一主題にもとづくフーガで始まる終楽章は、ジョコーソで、パーカッションのリズムに乗って現れる若者の生き生きとした動きとともに、誇らしげな親を表すリズミカルな対旋律によって彩られるコラールが荘大に現れ、クライマックスへと導かれていきます。
作品全体から感じられる作風は、理屈抜きの明るさ!
師のヴァンテルローストから引き継がれた要素もチラリと現われるなど、ニンマリとさせられるところもありますが、この作品で聴かれるルールス自身の若々しい作風は、必ずやウィンドの世界にフレッシュな新風を届けることになるでしょう。
トランペットに一部ハイCがありますが、カッコつきのオプション扱いですので、省いてもOK!
演奏する方も、聴く方も愉しく元気になれるブリリアントな作品です!
【ステイン・ルールス】
1979年7月6日、ベルギーのアールストに生まれる。デンデルモンデでトランペットとオルガンを学ぶ。ルーベンのレマンス音楽院に進み、オルガン、和声、対位法を学び、修士号を取得し、エドムンド・サーべニールスとヤン・ヴァンデルローストからウィンドオーケストラ合奏法について学ぶ。ベルギー期待の新星の1人である。
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