グッドイヤーウェルト製法
(Goodyear welt process)
グッドイヤーウェルテッド製法とも言いますが、略してグッドイヤー製法とも呼ばれています。 19世紀初めごろ、米国のチャールズ・グッドイヤー二世が、それまで手縫いだった靴を機械化に成功したためこの名が付きました。現在ではセメント式など、簡素化した靴製法の技術が発達したため少なくなりましたが、本格派の高級紳士靴などには、今でもこの製法が使われています。他の製法に比べ、職人の技術が重要なことと、多くの部品と手間がかかる分、たいへん丈夫で長持ちする、しなやかな靴が出来上がります。中物にコルクを入れることで、吸湿性・断熱性にも優れ、クッション性と足なじみにも優れています。
→写真で見る、グッドイヤーウェルト式による靴の製造工程
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マッケイ製法
(Mckay process)
日本には、1897年ドイツからマッケイ縫いマシン(アリアンズ機)が輸入されて広まった製法です。シンプルな構造上、ソールの返りが良く、どんな柔らかい革でも靴にできる製法です。履き込んでいくうちの、足を包み込むような足なじみは、マッケイ製法独特の特長です。コインローファーなどには、この製法が多く使われています。
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マッケイ製法(応用)
中物に、コルクやフェルトなどのクッション材を入れたマッケイ製法です。もともと室内履きとして誕生したと言われるマッケイ製法ですが、そのためクッション性がほとんどなく、屋外で長時間歩く事にはあまり向きませんでした。その欠点をうまく改善したのがこの製法です。最近の紳士靴で多くみられるようになりました。
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ブラックラピド製法
マッケイ縫いを施したソールに、さらにもう一枚ソールを縫いあわせた、比較的新しい製法です。グッドイヤーウェルト製法の耐久性の良さと、マッケイ製法の返りの良さをかけあわせたような製法です。また、単なるマッケイ製法では、雨の日などは縫い目から水がしみてきてしまうということがありますが、この製法なら大丈夫です。イタリア等の、ヨーロッパ製の高級紳士靴によく使われている製法です。
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セメンテッド製法
(Cemented process)
アッパーと底材を接着で貼り合わせる製法です。略して「セメント製法」とも言います。日本には1949年に入ってきた技術で、縫い糸を使わず靴が造れることで、当時量産の難しかった靴に画期的な技術革命をもたらしました。国内では、1952年頃から本格的な量産に入り、現在では接着剤の進歩とともに、かなり多くの靴がこの製法で造られています。材料を選ばない製法のため、多種多様なデザインや素材を使った靴を造ることが可能になりました。中物には一般的に、クッション性のよいスポンジ素材(フェルトなど)が使われています。
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セメンテッド製法(応用)
比較的、自由に靴をデザインできるセメント製法のため、様々な靴が誕生しています。最近のセメント式の紳士靴は、右図のような見栄えの工夫がされています。コバとソールに出し縫い糸の意匠を施したうえで接着してあります。見た目は、グッドイヤーウェルト式製法で造られた靴のような豪華さがあります。
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インジェクション・モールド式製法
(Injection molded process)
一般には「インジェクション製法」と呼ばれている射出成型による製靴方法のこと。「射出成型法」とも言う。金属製の型(金型)に、熱で溶かした塩化ビニルやポリウレタンを、圧力をかけることによって勢いよく注入し、靴全体や本底を一発で成型する方法。ほとんどの長靴は、この製法でつくられている。またこの方法で本底の成型と底付けを同時に行うのが、ダイレクト・ポリウレタン・ソーリング。アッパーをセットした本底の金型に、溶かしたポリウレタン液を注入し、中で発泡させ、冷えて固まることによって、本底を成型しながらアッパーと結合させる。効率よく量産できる製法として評価されている。
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(文章/イラスト:シューフィル)
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