大分荻産梅と阿蘇産紫蘇で作る、光農會の梅干し。
三毒を断ち、その日の難を逃れる。
ご飯やおにぎりのお供として日本人に馴染み深い梅干しは、古来より「三毒を断ち、その日の難を逃れる」と伝えられております。
その「3つの毒」ってのは水毒、食毒、血毒だそうですが、水毒ってのは「水あたり」だそうで、上水道の普及が進んだ現代ではその恩恵に授かることは少ないかもしれません
一方、「食毒を断つ」効果は現代でも非常に有効。お弁当やおにぎりに梅干しを入れると強い抗菌効果により腐りにくくなります。
最後の「血毒」へ効果。梅の果汁を煮詰めて作る梅肉エキスには「ムメフラール」をいう成分が含まれておりますが、このムメフラールには血流を改善させる働きがあるそうです。
現在では梅干しの成分分析が進んだことにより、下記のような効能があることが判明しております。
1. 抗菌作用
梅干しに含まれている「カテキン酸」には、抗菌・滅菌作業があり、胃の中やお弁当内、おにぎりなどの菌の繁殖を抑制します。
2. 疲労回復
梅干しの酸っぱさの成分である「クエン酸」。この成分には疲れの原因である乳酸を分解する働きがあることが分かっております。
3. 酔い止め
梅の成分である「ピクリン酸」とクエン酸は肝臓や腎臓の働きを助け、二日酔いや乗り物酔いの症状を抑える効能が期待されます。
紫蘇は阿蘇産、梅干しは隣町の大分荻産
光農會の梅干しに使用している原料の梅は、大分県竹田市荻町の無農薬栽培の梅を使用しております。
「なぜ大分産?」とお思いになられるかもしれませんが、光農會のある阿蘇市波野は大分県との県境に位置しており、大分県竹田市は隣町。当店のある阿蘇市一の宮町よりも竹田市に行くほうが近いくらい。ですので、大分県竹田市荻町で採れる梅は県は違えど「地元で栽培された梅」なのです。
赤紫蘇は光農會のメンバーである二子石さんが無農薬栽培で作った阿蘇郡高森町産のものを使用。
塩は海水を天日で自然結晶させてできた天日塩(オーストラリアまたはメキシコ産)の「豊潤塩」を使用しております。本当は熊本県天草の天日塩を使用したいそうですが、同じ天日塩でも豊潤塩は5kg1,080円、天草産は5kg18,900円。使用すればおそらく梅干しの値段が3倍以上になってしまいますので、なかなか難しいようです。
さて、当店の開店当初から取り扱いを始めたこの梅干し、近年では早いうちに完売になるほど根強いファンもできました。原料へのこだわりもお客さんを魅了する一つではあるんでしょうが、やはり人気の理由は何と言っても味。なぜ光農會の梅干しはこんなに美味しいのでしょう。そう尋ねると光農會の大谷真洋さんは自信満々にこう答えました。「はっきり言って干す作業にはかなりの手間ひまをかけていますからね」
梅酢につけながら三回干し、夜露に当てて柔らかさを引き出す。
光農會では梅を夏の暑い時期に3日間干します。まぁこれは「土用干し」と言って昔ながらの作り方では一般的な回数なんですが、近年では大量生産ために1日だったり2日だったりと干す回数を減らしている場合も多いそうです。
さらに、一日干し終わった梅は次に干す前に一度梅酢に浸けておきます。そうすることで塩味や酸味が強くなり、キリッとした味の梅干しが出来るそうす。この作業も甘めで塩分が弱い梅干しが好まれる昨今では省略されがちな作業ですが、光農會は安易な減塩志向に警鐘を鳴らしており、昔のように味噌汁や梅干しなどのサイドメニューできちんとミネラルを補給する必要があるとの考えをもっておりますので、この浸け作業はきっちりと行います。 光農會の梅干しは単なる「ご飯のお供」ではなく、「一日に必要な栄養の補給」も目的としているのです。
3日目に干す作業が終わった後、そのまま「夜干し」を行い梅を夜露に当てます。そうすることで梅干しの水分量が最適化されて柔らかい梅干しへ仕上がるそうです。この作業も真夏の夜に夜露がつくほど気温が低下する地方でしか行うことができませんので、省略される場合の多い作業です。
3回の土用干しと夜干しを行い梅の味を引き出す。
惜しみない材料と製法で光農會の梅干しはできる。
梅干しの消費が落ちている時代だからこそ、本来の梅干しを作る必要がある。
こうして話を聞くと、光農會の梅干しは原料にこだわるのはもちろん、製造方法にも全く抜かりがないことが分かります。
お米と同じく、梅干しはどんどん消費されない時代になってきております。そんな時代だからこそ、素材や製法にこだわり、なおかつ「日本人にとって梅干しとはなんぞや」とまで考えて梅干し作りを行う光農會のような存在が必要なのです。