アドバンテージDID・スペシャルカムチェーンに付きまして
ハイカムを交換するのに最も重要な物はそれらの周辺パーツです。
特にカムチェーン(タイミングチェーンとも言いますが)は重要です。
カムチェーンは通常の瓢箪型のタイプのカムチェーンとサイレントチェーンの2種類が有ります。
2輪の場合は一般的なカムチェーンやサイレントチェーンの初期伸びには気を使う方が懸命でしょう。
またカムチェーンの異常(異音)の見つけ方はアクセルを開けた時、つまり回転数を上げた時は、回転方向にカムチェーンが引っ張られる為に音は消える方向に有り、逆にアイドリングが不安定な時やアクセルオフ時や走行中のアクセルを戻した時に異音が出やすい傾向が有ります。
走行中にアクセルを戻した時、分かるくらいの音がしていると要交換した方が良いですね、音の種類としてはガラガラと言う音がするはずです。
カチカチと少し甲高い音で有ればほぼバルブ関係からのメカニカルノイズが出てると思われます。
ハイカムやカムシャフトを交換するので有ればカムチェーンは同時交換と理解して頂いた方が良いと思います。
カムチェーンはテンショナーにより手動式や自動式テンショナーに油圧テンショナーなどその他複数のタイプが存在しますが、自動テンショナーは自動とは言っても常にロッドを押し出しカムチェーンを張ってくれる分けではなくて段階的なノッチの駒の分だけカチカチと進んでいく仕組みで逆戻りはしない物では有りますがトラブルは何らかの問題で、これがうまく作動せずノッチが進まないのでカムチェーンが張られ無い事がなあまあ有りますね。
自動式で有っても当然ながら無限に伸びる分けでは有りませんので許容範囲内での話では有りますが、主にカムチエーンの痛んでる状態はドライブチェーンと同じく伸びとクッキングと言いましてピン部分が焼き付きや変形によってきれいに伸びなかったり回転運動に支障をきたす事が最もまずいと言えます。
カムチエーンの伸びはカムのタイミングを遅らせる(遅角)させてしまい問題を引き起こす様に成ります。
もっと簡単に結論から書くとカムチェーンの伸は遊びが大きくなって、カムの回転が遅れて、バルブの開閉タイミング自体が崩れ、その結果エンジンのレスポンスなどが悪くなり、エンジンの始動性も悪くなる場合も多々ある様です。
過去にモトクロスの事ですが新車を慣らし運転に引き続き5時間ほど走らせた後にチューニングの為に全バラしたエンジンのカムチェーンが3mm以上も伸びていて驚いたことが有りましたがエンジンオーバーホール時には必ず同時交換したい部品では有ります。
ハイカムを購入しながらカムチェーン、バーニャタイプのカムスプロケット、カムチェーンスライダーなどの各消耗品パーツにテンショナー関係は同時交換するのが無難だと思います。
アドバンテージでは常にDID製品を使用しておりますが強化カムチェーンに関しましてもそれは同じです。
カムチェーンの構成部品はプレートとローラーとピンの3種類の部品で構成されております。
アドバンテージでは強化する為にそれら全てを見直しました。
1にはプレートの形状ですが通常のカムチェーンタイプのプレート形状は瓢箪型と言われるプレート形状の物が多く使用されておりますがアドバンテージでは耐久力をアップさせる為に小判形と言われる形状の物に変更しております。
2はローラーなんですがここにスプロケットは噛み込んで回る分けですから精度は重要です。
通常ローラーは巻きブッシュタイプ(板をロール状に巻いてブッシュローラーとしてる)と言うローラーを使用しておりますが回転抵抗や強化する為にローラーを冷間鍛造で製造しソリッドブッシュと言う物を採用しております。
ソリッドブッシュと言うのは通常はカムチェーンを繋いでいるピン周りのローラーですが、このローラーを一体型で成型する事で継ぎ目の無い滑らかな表面と、優れた真円度を有する剛性の高い
ソリッドブッシュローラーを採用した結果、耐摩耗性及びフリクション性に優れたカムチェーンを完成させました。
3チェーンを繋ぎ止めるピンに関しましてはダーハードα処理を施しました。
ダイハードα処理はピンの表面に非常に硬い被膜を形成したもので、この被膜は内部に更に高硬度の炭化物を分散した形態になっています。
この事によりスタンダード品と比較して摩耗寿命が1.8倍以上と言う画期的な性能向上を実現しました。
4その他では回転するカムチェーンの外周は各カムチェーンスライダーで押されているものですから回転抵抗を
受けてしまいます。
それらの回転抵抗を落とす為にファインブランクカット(背面を磨いております)この事により回転抵抗を軽減させることに成功しました。
5また見た目ではGOLD鍍金仕様に成っておりカムチェーンでは初めての試みでした。
もう一種類はサイレントチェーンをオリジナル化しており表面処理にはSV処理とダイハード処理をした2種類のサイレントチェーンを供給しております。
表面処理技術SVはあらゆる使用環境で高い耐摩耗性を発揮する高性能・高強度サイレントチェーンが誕生しました。
サイレントチェーンは私の知る限り静音性とは言われておりますが通常のカムチェーンとはかなり違った構造に成っております。
サイレントチェーンとは、ピッチが細かいことに加え、ピンと別の場所にスプロケットが噛み合う歯を作り、チェーンとスプロケットがギアーの様に次第に接触していく為に衝突するローラチェーンより
静かなサイレントと言う名称ではありますが構造で静かなのではなく、オイルバスなので伸びが少ないのでそう呼ばれているだけで、普通のカムチェーンがスプロケットで駆動を行われています為、多少伸びても使用できますがサイレントチェーンはギヤ相手なので伸びると、もう使用が不可能(許容範囲は有りますが)なものです。
メーカーにとってはエンジンの低騒音化、コンパクト化及び歯部の磨耗を抑制することが出来るサイレントチェーンは設計の自由度に貢献していると言えます。
ここで大きく纏めて言いますとローラーチェーンタイプはサイレントチェーンタイプに比べピンが多い為に組み付け歪が少し多く初期伸びは多いがその後はローラー(軸受)が有る為、運転における伸びは安定し少ないと言えますがサイレントチェーンは初期伸びに関しては有効と言えますがローラーが無い為、ピンが直接プレート圧入される為にピンに掛かる負担が大きくなり最終的な伸びはサイレントチェーンの方が多いと言えます。
この様にカムシャフト交換をするので有ればカムチェーンは同時交換をお勧めします。 |