ドナウ川のほとりにある小さな町、ヴコヴァルから来た私の世界は、スラヴォニアの風景に包まれていました。ダルマチアのアドリア海は私にとって遠い夢のような存在で、子供のころに一度だけ訪れたことがあるだけです。戦争の前、まだ8歳か9歳のころの短い旅行が、その土地の幻想をわずかに感じさせるものでした。
年月が経つにつれて、クロアチアの異なるワインについての興味が深まりました。私は国内各地のワインを試し、その豊かな多様性に魅了されました。その中でも、ディンガッチは特に有名で、名高いワインとその歴史ある産地で知られています。
ディンガッチの歴史は1902年に設立された協同組合ワイナリーにさかのぼります。ディンガッチの写真や動画を見ていると、その協同組合の雰囲気が一目でわかります。ゲートや庭、ワイナリー内部の空間には、私が学生時代に働いていた協同組合と同じようなシンプルで親しみやすい雰囲気が漂っています。建物の形は地域によって異なりますが、その本質―控えめな魅力と温かい雰囲気―は驚くほど似ています。
ディンガッチで働く人々も、このシンプルさを体現していますが、そのホスピタリティは普通ではありません。彼らの心からの温かさと熱意は、訪問者を古い友人のように迎え入れてくれます。その親しみやすい顔ぶれや招かれるような雰囲気に惹かれ、つい長く滞在したくなります。
ディンガッチのワインは、そんな伝統と卓越性の融合を反映しています。若いプラヴァツ・マーリは、そのまっすぐで生き生きとしたフレーバーを楽しませてくれます―赤いチェリー、クランベリー、カシスのノートとディルやミントのヒントが絶妙に組み合わさっています。深みと複雑さを求める人には、成熟したワインがその真髄を示します。長い熟成と最良の畑からの特性を生かしたこれらのワインは、一口ごとに豊かなフレーバーの層が広がります。
本質的に、ディンガッチを訪れることは単なる素晴らしいワインの味わいを超えて、温かさとシンプルさの遺産に浸ることです。どのグラスも、情熱と献身の物語を語っています。