大名と奈良漬
 

国産野菜を酒粕漬けした奈良漬は、昔ながらの香り高く美味しい伝統食。 グルメで漬物好き、大切な方へのお土産・ギフトに本場の奈良漬「春日大名漬」


大名と奈良漬
『畝傍、香久山、耳成山。大和三山と呼ばれるこの山々が一望できる小高い丘が明日香村にあります。甘橿の丘といい東南の方角には明日香村が、西は畝傍山や二上山が北は明日香川に沿って開けた藤原京の史跡を一望することができます。三方を山に囲まれた都は更に北上し710年には平城京が、そして794年には平安京へと繋がっていくのですが、いずれの都もまっすぐに北上し、しかも南だけが開けた地形をしているというのも大変興味深く感じられます。
「あをによし奈良の都は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり。」
平城京を称える万葉集の名歌です。花々が咲き誇る都の景色が思い浮かぶようです。現代の奈良漬作りの原点ともいえる漬物といえば、はるか1300年前、平城の貴族に食されていたという酒粕漬にまでさかのぼります。
昭和63年奈良市二条大路の百貨店建設現場から出土した「長屋王邸」跡の木簡に記されている“調理法”が日本最古の記録。
「進物 加須津毛菰 加須津韓奈須比…(たてまつりもの かすづけものうり かすづけのからなすひ・・・)」
加須津とは、粕漬け、すなわち奈良漬のこと。漬けた材料は、毛菰(モノウリ=冬ウリ)、韓奈須比(カラナスヒ=現在のモギナスの原種?)、名我(メガ=ミョウガ)など。
「加須津の“津”の文字がものをひたひたにする、という意味を持つことから、
現在の酒粕とは違い、ドブロク状のものに漬けていたと思われる」というのは、漬物の歴史を研究する久保功さんの説。現在に近い形状の粕が使われるようになったのは、鎌倉から室町時代ごろではないかといわれています。
酒造りの技術が現在の原型に近づいたのもこの頃。鎌倉時代の絵巻に、寺院から運び出される粕らしきものが描かれていることからの推論だそうです。粕漬けを奈良漬けと呼ぶようになったのは、奈良市南郊・菩提山にある正暦寺で500年前から中国の紹興酒の製法を模して、わが国最古の清酒を製造していたといわれているなど、奈良が古くからの銘酒の産地だったから、というのが定説のようです。
 久保さんによると「奈良漬」という名称が確認できる比較的早い史料は、
明応元年(1492)11月3日「宇治から洛中の寺へ贈られた」というものがあるといいます。歴史の上に、しばしば登場する奈良漬。「桃山時代、豊臣秀吉が京の大茶会で香の物として用いて好評を得た」「徳川家康が大坂冬の陣の時に食した」「江戸初期、西大寺中筋町の糸屋宗仙という漢方医が白ウリをかすに漬けて売り出した」など、いくつかの風説が伝わりますが、べっ甲色をした、現在とほぼ同じような奈良漬けが確認されたのは江戸初期のこと。場所は浪速の豪商・淀屋辰五郎の物置だったといいます。辰五郎は、淀屋橋を私財を投じて架けるなど、豪快な逸話にこと欠かない人物ですが、そのぜいたくぶりを幕府にとがめられ、大坂を追放されることになっていまいます。残された蔵の中には、当時庶民の口には入るべくもない大坂名産の天王寺カブラやウリのかす漬けの樽がズラリと並んでいたとか。
  創業者、飯田弟一はその昔大名が食したであろう最高品質の奈良漬の製造を目指し「春日大名漬」と命名したといいます。


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