プライヤ製造工程

【1.材料切断とは】 ロール状になっている原材料(高炭素鋼S55C〜58C、 Crv(クロームバナジウム鋼)などを製品の形や全長に 合った寸法で切断します。当社の場合、材料φはφ11 〜φ26位を使用しております。 (55C、58Cの数字はカーボンの含有量を表します。)
【2.加熱とは】 当社の鍛造法は熱間鍛造で、その鍛造を打つ前の 加熱の事です。切断した材料を適切な熱で加熱します。
【3.鍛造とは】 金型材にそれぞれの製品の形が彫りこんであり、そこに 【2.】で加熱した丸棒を置き、上から鍛造ハンマーで潰すわけです。 文字通り鍛えて造るです。金属を鍛錬する事により 高い強度を得る事ができます。 餅つきを想像するとわかり易いかもしれません。熱して柔らかくした モチ米を叩くことで粘り気が出て餅になるわけです。金属も粘り気 (靱性)を増し強くなるのです。
【4.バリ抜きとは】 鍛造で製品の形に潰れた丸棒は、製品の回りに余分な肉がはみ 出ます。鯛焼きのまわりの皮を想像してください。それを抜き型で 抜く作業をバリ抜きと言います。 【2.】〜【4】の工程が鍛造工程です。
【5.焼鈍(なまし)とは】 鍛造上がりの硬さのムラを無くす為や柔らかくしてその後の加工を しやすくする為に行ないます。鍛造より低い温度で加熱し、 保熱後徐々に冷まします。
【6.ショット掛とは】 鍛造後の製品は加熱したことによりスケールと呼ばれる金ごけ (酸化物の屑)がつきます。テレビ番組で刀鍛治の職人さんが 放送されることがありますが、その刀に付いている金属のかさぶた のようなものです。それを鉄の非常に小さな玉をぶつけて落とす 工程を言います。 「女性のお化粧前の丹念な洗顔」と言ったところでしょうか。

ショットの金属球。これは大きい方。
【7.模様押しとは】 プライヤハンドル部分の滑り止め模様をつける作業のことです。
【8.仕上押しとは】 【3.】のショット掛けをしても鍛造生地は様々な凹凸があります。 それを金型の上でプレスし地肌をきれいに滑らかにします。 肌が汚ければ、いくら厚化粧してもきれいにはなりませんよね。(^^ゞ しかし、これは外観だけのためではなく、製品性能に大きく影響する 重要な作業でもあります。 ペンチなどとは違い、スライドさせて口開き調節をするプライヤ類は あわせ面の凹凸は致命傷なわけです。ガタツキが無くスムースな 口開きのためにはこの工程は不可欠です。
【9.刃切りとは】 プライヤのくわえ部の刃を切る作業のことです。これは横フライス という機械にカッター(写真参照)を付け、回転させながら刃を付けます。 このカッター刃の形状を替えることで、いろいろなくわえ部の形にする ことができます。この刃切り工程でプライヤの精度が決まります。 詳細は・・・ごめんなさい。企業秘密です。m(__)m

刃切り加工。真中で回転しているのが カッターとサイドカッター。
【10.第一研磨(粗研磨)とは】 製造工程の中で、2回行なわれる研磨の内の最初の研磨です。 ペーパーの粗さは60番から90番(商品により違います。) で、鍛造のバリなどを磨きます。
【11.穴明けとは】 プライヤの口開きをするためのひょうたんのような孔を明ける作業 のことです。この孔の形状により、大小口開きが調節できるということで コンビネーションプライヤという名前がつきました。これは和製英語で、 英語ではスリップジョイントプライヤと呼びます。スリップさせて調節 できるジョイント部を持つプライヤというところでしょうか。
【12.マーク打ちとは】 プライヤ本体に刻印マーク(ブランドや品番、JISマーク、原産地表示など) をプレス機で打つ工程を言います。その後の【16.第二研磨】で更に表面を 研磨するので少し深めに打刻します。 印刷マークやレーザーマーキングなどは、表面処理後 マーキングをします。刻印は年賀状のいも判と同様、左右反転して彫って あります。

刻印。同じマーキングでも浮き出し刻印は、 鍛造の型にあらかじめ彫り込まれている。
【13.焼入れとは】 【5.】の焼鈍で柔らかくなったワークに文字通り焼きを入れるわけです。 刀鍛治の職人さんが水の中にジュッと赤く焼けた刀を入れるあれです。 しかし、工具の場合はもう少し複雑です。焼入れ工程には、焼入れ、焼き戻し の2工程がありますが、焼入れの工程では、一度決められた温度で加熱し、その後 油の中で冷やします(油冷)。それを再度加熱し焼き戻すわけです。 この焼入れ焼き戻し工程は、材料の持つ優れた特性を十二分に引き出し、 製品の硬度、粘り、耐久性を持たせる非常に重要な工程で、温度管理、 時間管理、酸化させない設備などがムラのない均一化された硬度を生み出し ます。 芯のないフニャフニャした人間を「なまくら人間」などと言いますよね。(^.^)
【15.ショット掛けとは】 【6.】と同様ですが、ここではさらに小さい鉄球を使用します。前のショット掛けが お化粧前の洗顔なら、ここでのショットはベースクリームと言ったところでしょうか。
【16.第二研磨(仕上研磨)とは】 【10】の第一研磨では粗研磨でしたが、ここで仕上の研磨となります。 今度はペーパーではなくバフ仕上で、通常180番から280番手で磨きます。 他にもバレル研磨、ケミカル研磨(振動バレル研磨)などがありますが、 【9.】の刃切り加工でせっかく鋭くつけた刃先が丸まってしまうため、プライヤの 研磨にはふさわしくありません。
【17.表面処理とは】 化学的に処理するいわゆる防錆加工です。よく知られているのが ニッケルクロームメッキです。当社商品の大半がこのメッキです。 まず、ニッケルをつけ、その上にクロームメッキをつけます。 前処理、メッキ間の洗浄など、メッキ工程は20工程にも及びます。 ニッケルクロームメッキの他の防錆処理として、カチオン電着塗装、 パーカーライジングなどがあります。
【18.組立とは】 プライヤは表面処理終了まで左右別々に生産されます。 表面処理完了後、初めて左右が組み合わされるわけです。各品番専用の ボルトとナットで組み立て、リベティングマシーンというボルトカシメ機で 緩みが出ないようにカシメます。1万本の右側と1万本の左側を無作為で 選んでもピッタリ先端が合う・・・。ここがプライヤ製造の難しさです。

リベッティングマシーン
【19.製品検査とは】 外観上のメッキ不良とかキズ不良はもちろん、目に見えない部分の検査も 行ないます。プライヤに関しては、硬度検査、永久ひずみ検査、 切れ味検査など、JIS規格より数段厳しい社内検査基準で検査します。 他にもガタツキがないか、スムースに調節できるかなど、合格した商品のみ 包装出荷されます。
|